イギリスで3つの競馬場に行ってきました

2014年11月15日(土) 12:00


ちょっとしたハプニングが

 先月末、イギリスで障害競馬を見てきました。今回訪れたのは、あのグランドナショナルで有名なエイントリー、イギリスで最も新しい(2009年オープンの)フォスラス、それにフォスラスに次いで新しい(と言っても1927年開設の)トーントンの3競馬場です。

 道中はほぼ順調だったものの、ちょっとしたハプニングがありました。それはフォスラス競馬場へ行った日のこと。まずは競馬開催の前日に、同競馬場へ行くのに便利なラネリーという町の“駅前ホテル”に1泊しました。

 これがなかなか味わい深いホテルでした。玄関を入ると駅の切符売り場みたいな窓口があり、それがフロント。その反対側はパブ+レストランのカウンター。そこでビールを注いでいるお姉さんがホテルの受付もこなしています。私の部屋はパブの2階にありました。

 翌朝、ホテルの朝食堂で“まかない”をやっていたオバチャンに競馬場からの帰りのタクシーを予約してもらい、しばらく時間を潰した後、チェックアウトタイムの10時に部屋を出ようとすると、ホテルには誰もいません。フロントの窓も閉まっています。宿泊料は予約時に伝えてあるクレジットカードで精算、ルームキーは部屋に置いておく、というシステムだったのです。

 そこで問題になったのが荷物。大型キャリーバッグを引きずって競馬場に行くのはタイヘンなので、「これを預かっておいて!」というメモにチップを添えて、カギと一緒に部屋に置きっぱなしにして出発しました(もちろんドアは自動ロックではありません)。

 競馬場からの帰りのタクシーはほぼ約束の時間に来てくれました。いったんホテルに戻り、荷物をピックアップして、次の目的地へ向かう列車に乗るというスケジュール。ところが、帰路の一部、なんとT字路の「−」になっている部分が工事のため変則信号による片側交互通行になっていて、予想外の大渋滞に巻き込まれてしまいます。シビレを切らしたドライバーが赤信号を強行突破。ホテルに戻ったのは、列車の発車時刻数分前でした。

 フロントにいたのは、きのうパブでビールを注いでいたお姉さん。「荷物を受け取りたい」と言うと、「預かっていないわよ。ここにはない」との答え!「うわぁ、盗まれちゃったか?」。一難去ってまた一難です。

 結局、お姉さんが誰かに電話して、ようやく朝食堂にあることが判明。それを受け取ったのは列車の発車時刻を数分過ぎた頃でした。でも、「イギリスの列車はよく遅れるからなぁ」と思い、急いで駅に行ってみると、私の乗るはずの列車のドアが今まさに閉まったところ。ホームの端を見ると、まだ車掌サンはホームに立っています。すぐに「これに乗るぞ!」とゼスチャーで伝えると、気づいた車掌サンがドアロックを解除してくれて、無事に乗り込めたという次第です。

 いやぁ、スリル満点。だからこそ、今回も印象に残る競馬旅行になりました。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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