「ためらわない」姿

2015年02月05日(木) 12:00


三浦皇成騎手とエアハリファ、人馬一体の呼吸

 進むにせよ、退くにせよ、決断すべきときにきちんと決断しなかったら、厳しい現実を生き残ることはできない。災難や苦難は、ないに越したことはない。だが、そうもばかりもゆかないのがこの世の中だから、思わぬときに思わぬことが起こっても、いずれのときにも「心を定め」対応しなければならない。そして、人一倍の知恵、なによりも人一倍の思いをそこにぶつけるべきだ。この「心を定める」「決断する」、そして「ためらわない」の背景にある人一倍の思いが、大きな原動力になって事を動かすシーンを、身近にある競馬にも見つけることができた。

 戦う前には様々なケースを考えたが、いざ跨がってみると馬のデキがあまりにもよかったので、馬を信じて乗ることに徹しました。ここで生まれた人馬一体の呼吸、これが好スタートにつながり、三浦皇成騎手の大担とも思える騎乗になっていた。根岸ステークスで勝利をつかみ、フェブラリーSへの優先出走権をつかんだエアハリファと三浦皇成騎手、そこには「心を定める」「決断する」そして「ためらわない」姿があった。ダートで強い馬に共通していること、それは残り二百米を切ってからの走りで、力強さだ。根岸ステークスの1、2着馬にはそれが見られた。さあ、ダートの檜舞台で強豪たちにどんな決断が見て取れるか。エアハリファは6歳を迎えて重賞を初めて勝ったが、栄冠をつかむまでにはもっと茨の道を駆けてきた名馬もいる。

 地方競馬の浦和の出身で、球節の骨折などで15ヵ月のブランクがありながら精進を続け、9戦8勝で旧6歳時に中央入り、7歳でマイルCSを勝って、8歳で安田記念でマイルの頂点に立ったトロットサンダーだ。サバイバルの色濃い中央にいたら名を成せたかどうかだが、地方にあって素養をみがくことができ、マイルの申し子とまで呼ばれることになったのは、ここまで待つ決断があったからだった。そう言えば、東京新聞杯も安田記念も横山典弘騎手の「ためらわない」大外強襲のプレイが鮮やかだった。

◎トロットサンダーの大外強襲動画はコチラ

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長岡一也

ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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