新規騎手免許合格発表、ウラ話

2015年02月05日(木) 18:00


タガノグランパは「放牧先でも乗り込んできたし、楽しみ」

 2015年、なにやら世界が大きく動いています。テロとか、誘拐事件とか、ひじょうに悲しく激しい出来事が次から次へと起こります。3月に行われる予定のドバイワールドC、大丈夫なのかな?

 競馬やスポーツで各国の陣営が戦うのは、平和な世の中だからこそ出来ること。競馬は平和の象徴です。これからも、安心して日本馬、日本陣営が海外遠征できる世の中であるように願います。

 さて。2月5日、JRAの歴史も大きく動きました。午前10時に騎手試験の新規合格者が発表されました。その中にミルコ・デムーロ騎手とクリストフ・ルメール騎手の名前が!!わたしはこの瞬間、JRA栗東トレーニングセンターの事務所の合格者の名前が書かれた紙が貼られるであろう場所にいました。午前10時の数分前くらいからJRAの職員さんが筒状に丸めた紙を持ち、その紙を貼る準備をしていたのです。そして、その紙に自分の名前が書かれているのを確認するべく、競馬学校を卒業したばかりの加藤候補生と鮫島克駿候補生が姿を現しました。午前10時を前に少しくらいフライングして貼るのかな?と思っていたのですが、いやいや、10時にあわせてJRA職員の数は増え、時計の秒針を見て「あと10秒」と確認しながら慎重に発表のときを待っていました。

 午前10時ジャスト、その紙に書かれた内容を見て「わー!ついにこの時がきた!」と胸の鼓動が高まりましたね。それでも、冷静を努めてその紙を数枚撮影、それからその場にいた加藤、鮫島両候補生の合格直後の様子をカメラにおさめ、netkeibaさんのニュースを入稿しました。

左から加藤祥太さん、鮫島克駿さん

 競馬学校卒業生の彼らには申し訳ないのですが、やはり今日の主役は外国人ジョッキー。今日は忙しくなるなぁと思いつつ、彼らが話題を持っていく前に若い2人の嬉しそうな顔を撮ることができてよかったな、と思ったりしていました。

 その後の午後1時、同じく栗東トレセンの事務所で新規騎手免許合格者たちの記者会見が行われました。その様子もニュースで入れたので、まだお読みでない方はぜひ読んでくださいね。若い3名の隣に顔の小さいルメール騎手が並んでいるのは、すごく新鮮でした。

 ルメール騎手はちょっとした受け答えも自分で日本語で話そうと一生懸命でした。騎手免許は3月1日に交付されますが、ちゃんと「ついたち」って話してらっしゃいましたよ。日本語は数字の扱いが難しい。でも、競馬の世界では数字の表現はとても大事。そういった細かいことも勉強しているんだなぁと感心しました。ちなみにルメール騎手自身は動詞のつかい方を覚えるのに苦労されたそうです。お子さんの学校の区切りがいいタイミングで家族揃って日本で暮らすとのことです。楽しみだなぁ。

 このような歴史的瞬間に立ち会えるというのは記者の役得ですね。こういうときばかりは、ほんと胸がドキドキしているのが自分でもわかります。大興奮を味わうのは競馬場での出来事が一番多いものですが、トレセンでも結構あるんです。かつて、ドキドキしまくったのは、2009年のジャパンC直前、ウオッカが武豊騎手からルメール騎手へ乗り替わるというニュースを聞いたときです。その乗り替わりは報道陣には知らされていなかったはずで、その週の調教でルメール騎手がウオッカに跨ったのが事実上の発表でした。あのとき、あの瞬間、本当にルメール騎手がウオッカに乗っている姿を見てドキドキがとまりませんでした。改めて思い出すと、あのときのドキドキもルメール騎手だったんですね。奇遇です。

 これから、日本の騎手の世界も大きく変わっていくことでしょう。このことで、日本の競走馬でさらなる大興奮が生まれるのは間違いなし。彼らが期待馬を新馬からクラシックまで通して乗れるようになるのです。ほんと、楽しみです!!

 今週の東京新聞杯はタガノグランパに注目しています。今週の追い切りではラスト12秒1のいい動きを見せたのですが、ゴール板を過ぎたら鞍上の菱田騎手が落馬してしまいました…。でも、大人しいグランパは変にエキサイトすることもなく、すんなり捕まったのでありました。翌朝の状態を懸念していた松田博師でしたが、いつもどおりに変わりない様子を確認して納得の様子。「放牧先でも乗り込んできたし、楽しみ。とくに左回りは走るからな」とニッコリ。

タガノグランパ

 そう、グランパは中京でファルコンSなど2勝をあげているし、東京ではダービー4着。結果が示すとおり、左まわり走るんですよ!でも、あまり人気を集めそうにないですね…。いやいや、調子はいいのでここで狙わない手はないと思います!

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花岡貴子

デジタルレシピ研究家。パソコン教師→競馬評論家に転身→IT業界にも復帰。競馬予想は卒業したが、現在も栗東トレセンでニュースやコラム中心の取材を続けている。“ねぇさん”と呼ばれる世話焼きが高じ、AFPを取得しお金の相談も受ける毎日。公式ブログ「ねぇブロ」(http://ameblo.jp/takako-hanaoka/)

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