大ケガを乗り越え完全復活!宮崎北斗騎手の今

2015年04月28日(火) 18:00

宮崎北斗騎手

宮崎北斗騎手


宮崎北斗騎手「不安はあったんですけど、実際に乗ってみたら楽しくて。馬の背中に戻って来られて、本当に良かったです」

 昨年11月に落馬し、第6胸椎圧迫骨折などの大ケガを負った宮崎北斗騎手。約6か月の休養を経て、今月無事復帰を果たしました。大きな試練を乗り越えた宮崎騎手に、現在の心境をお聞きしました。

赤見:復帰おめでとうございます。半年間の休養というのは、かなり長かったと思いますが。

宮崎:ありがとうございます。本当に長かったですね。こんなに大きなケガは初めてでした。胸椎圧迫骨折、くも膜下出血、脳挫傷と診断されたんですけど、頭を打っていたので最初の頃はよくわからなくて…。今考えると恐ろしいですよね。

赤見:落馬した時の記憶もないんですよね?

宮崎:そうなんですよ。福島の最終レースだったんですけど、全く記憶がなくて。なんとなく夢を見ているみたいな感じで、帰りの新幹線の中で寝てるのかなって思っていたら、そういえば新幹線に乗った記憶がないなって思って、ハッと目覚めたら病院のベッドの上にいました。

赤見:そこから診断結果が出て、約6か月の休養となるわけですが、どんな風に過ごしていたんですか?

宮崎:正直心が折れました。ずっとキツかったです。鬱々としちゃって、なかなか前向きな気持ちになれなくて…。今まではケガして落ち込むっていう感覚はわからなかったんですけど、初めてわかりました。こればっかりは大ケガしてみないとわからないんだなって。毎日体はひたすら辛いし、やることがない。毎日起きてご飯食べて、お昼寝してご飯食べて…療養に努めるわけですけど、何もすることがないんです。動きたいけど動けないし、何かやりたいのに何もできない。

 今までは毎週の競馬に向けて毎日生活していたのが、いきなり何もなくなってしまって。復帰のメドもなかなか立たなかったし、メドが立ったら立ったで体を動かすのが辛いっていう。前向きに頑張ろうとは思うけど、なかなか気持ちを保てなかったです。

赤見:そんな中で、支えになったものって何ですか?

宮崎:月並みですけど、やっぱり家族の存在は大きかったです。僕、両親とはそんなに仲良くなかったんですけど、ケガしたことで両親と話し合う時間ができて、仲良くなれました。改めて大切さに気付いたし、感謝の気持ちでいっぱいです。あと奥さんにも、相当心配掛けてしまって。すごく良くしてもらいましたね。本当に有難かったです。あとは、入院してる時、お見舞いに来てくれる人がいるとすごく嬉しかったです。本当に毎日暇人なので。結局入院は1か月で、5か月間家に居たんですけど、普段は「休みたいな、家にいたいな」って思う時もあるじゃないですか。でも実際5か月も家に居て何もやることがないと、本当に辛いです。乗り越えられたのは、家族と周りの人たちのお蔭です。

赤見:久しぶりに馬に乗った感覚はどうでした?

宮崎北斗騎手

宮崎北斗騎手「乗り越えられたのは、家族と周りの人たちのお蔭です」(写真はセラフィックロンプで制した2010年の愛知杯)

宮崎:最初は前とは体のギャップがあったんですけど、乗りながらいろいろ考えていくようになって、すごく楽しくなりました。もう馬には乗れないかもしれないと思った時期もあったので、実際に乗れるようになった時は本当に嬉しかったです。やっぱり、ここが僕の居場所なんだなって。馬に乗るとこうした方がいいかなとか、いろいろと考えるじゃないですか。そういうことが本当に楽しくて、復帰に向けてすごく支えになりました。

赤見:復帰に関してはいかがですか?

宮崎:不安はもちろんありましたけど、復帰してみると意外と体が感覚を覚えてました。競馬場に行けるのは、楽しいっていうか落ち着く感じです。やっとここに戻って来たなっていう。

赤見:恐怖心はないですか?

宮崎:休んでいる間は正直ありました。競馬を客観的に見て、こんな危ないことしてたんだなって思ったり。復帰する時も、そういう気持ちが出たら…という不安はあったんですけど、実際に乗ってみたら楽しくて。馬の背中に戻って来られて、本当に良かったです。

赤見:ファンの方の反応はどうですか?

宮崎:僕はフェイスブックをしているんですけど、温かい言葉を掛けてもらっています。本当に有難いですね。早く復帰後初勝利を挙げて、ウイナーズサークルでファンのみなさんにお礼を言いたいです。今はそれが一番の目標です!

宮崎北斗騎手

宮崎北斗騎手「早く復帰後初勝利を挙げて、ウイナーズサークルでファンのみなさんにお礼を言いたいです。今はそれが一番の目標です!」

 ケガをしたことは本当に辛かったですけど、たくさんの方に支えてもらって復帰することができました。精神的な面で言えば、得るものもあったと思っています。これからも全力で頑張りますので、応援よろしくお願いします。

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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