SSSのトライアルは?

2015年06月05日(金) 18:00


◆海を越えての輸送はなかなか大変

 前回のこのコラムでも取り上げた、地方競馬の『ダービーウイーク』が、今日(6月5日)終了した。この原稿を書いている時点で最後の名古屋・東海ダービーの結果はわからないものの、ここまでの5戦では、人気馬が強い勝ち方をするか、そうでなければ波乱という極端な結果が目立った。

 佐賀、盛岡、園田は、いずれも単勝1倍台の断然人気馬が2着に決定的な差をつけての勝利。ところが、これも堅いと思われた北海優駿は、単勝1.1倍と圧倒的な支持を受けたオヤコダカがスタートで躓いてまさかの落馬。「競馬は何があるかわからない」という言葉をあらためて思い起こしたという人も多かったのではないか。一方で、東京ダービーは、9、6、10番人気馬での決着。小久保智厩舎のワンツー、的場文男騎手は東京ダービー2着9回目ということが話題となったが、長くなってしまうので、ここでは触れないでおく。

 さて、ダービーウイークが終了すると、地方競馬のシリーズ競走は『スーパースプリントシリーズ(SSS)』が始まる。全国4カ所で“トライアル”が行われ、その勝ち馬(川崎だけは2着馬も)は、“ファイナル”の習志野きらっとスプリントへの優先出走権が与えられる。

 それにしてもダービーウイークでも6カ所で行われるのに、SSSのトライアルが、川崎、園田、門別、名古屋と4戦しかないのは、いかにも少ないように思うのだが。

 かつてトライアルは荒尾でも行われていて5戦あり、荒尾競馬廃止後は佐賀に移設されるのかと思ったら、トライアルは1戦少ないまま。九州で唯一の競馬場となった佐賀所属馬のトライアルは園田に吸収される形となった。

 南関東の川崎(川崎スパーキングスプリント)、東海・北陸の名古屋(名古屋でら馬スプリント)は、ともに日常的に交流がある範囲なのでいいと思うが、高知、佐賀の所属馬は園田(園田FCスプリント)に遠征するしかなく、また岩手所属馬は門別(グランシャリオ門別スプリント)までの長距離輸送が強いられる。

 先日、たまたま岩手競馬の関係者と話したときに言われたのは、海を越えての輸送はなかなかに大変で、トライアルには参戦しにくい状況にあるとのこと。たしかに過去4年で、岩手所属馬はトライアルのグランシャリオ門別スプリントには1頭も出走していない。トライアルに出走せずともファイナルの習志野きらっとスプリントに出られないわけではないが、選定順はかなり下になってしまう。

 岩手は単独で、さらにかつての荒尾の代わりに佐賀で、それぞれトライアルを設置し、トライアルは全6レースとしてもいいのではないか。もしくは岩手所属馬は、ほぼ東北自動車道1本で輸送できる川崎のトライアルに出走を認めるということでもいいかもしれない。

 全国的にシリーズを盛り上げるという意味でも、トライアルはあと1、2戦増やすべきと思うのだが。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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