「しっかり技術を磨き信頼される騎手になりたい」鮫島克駿騎手にインタビュー

2015年08月25日(火) 18:00

競馬の職人

鮫島克駿騎手


鮫島克駿騎手「多くの厩舎に応援してもらってるので期待に応えられるよう頑張ります」

 今週はTVに釘付け!! チャンネル移動に大忙し。

 日曜日にはサマー2000シリーズ第4戦・札幌記念が行われ、ラキシス・トーホウジャッカルのGI馬2頭が出走しましたが四位騎手騎乗のディサイファに軍配。秋に向けて面白い展開になってきました。

 小倉競馬場では北九州記念を豊騎手騎乗のベルカントが優勝し重賞連勝。秋競馬につながる熱いレースに緊迫感が走りました。

 そして世界陸上2015が北京で、ワールドカップバレーボール大会が日本で開幕し、手に汗握る熱戦が繰り広げられています。リオオリンピックの切符を手に入れることはできるのでしょうか?

 また24時間TVは【つなぐ】をテーマに放送されていましたが競馬の世界でもつなぐとかつながりはなくてはならない存在だと思いました。

 今日のコラムは新人の鮫島克駿騎手です。父・鮫島克也騎手(佐賀競馬)、兄・良太騎手へとつながっています。つながりの話を盛り沢山お聞きしました。

常石 鮫島騎手どこかな?(キョロキョロ)(取材お願いしていたんだけど時間に遅れてしまって…)

鮫島駿 常石さーん。ちょうどよかったです。僕も今調教が終わったところなので厩舎でお願いします。

常石 ありがとうございます。よろしくお願いします。鮫島騎手のことは知っていたのですが顔と名前が一致しなくて記者にあのかわいい騎手は誰ですか?と聞いたんですよ。『常ちゃん、鮫島君の顔は覚えとかなあかんで。競馬界のサラブレッドやで』と教えてもらいましたのでもうしっかり覚えましたよ(笑)。

鮫島駿 ありがとうございます。光栄です。

常石 こちらこそ取材に快く応じていただきうれしいです。鮫島君と言えば騎手の血統ですよね。僕も現役の時1度だけお父さんと同じレースで競馬をしたことがあるんですが上手かったもんね。すごい騎手だと思ったよ。お父さんの影響はありますか?

鮫島駿 ずっと小さい時から父を見て育ったので騎手になることしか考えませんでした。兄も騎手ですしね。

常石 なるようにしてなったという感じだったんですね。一番印象に残ってるレースなどはありますか?

鮫島駿 父が出場した2001年ワールドスーパージョッキーシリーズですね。2日目に2レース共に1着になり逆転優勝したんですよ。母に阪神競馬場へ連れて行ってもらい応援しました。まだ幼かったけどとっても印象に残っています。

 それと2008年のジャパンカップでミルコ・デムーロ騎手騎乗のスクリーンヒーローの勝ち方もすごかったです。あのレースにはとっても刺激を受けましたね。

常石 あの年のジャパンカップは有力馬が多かったでしょう。ウオッカ・マツリダゴッホ・メイショウサムソン・ディープスカイなどメンバーがすごかったよね。まだ小学生だったでしょう。よく覚えていますね。やっぱり競馬一家で育ったから刺激も多かったんですね。騎手になったときは、お父さん喜ばれたでしょうね。いろいろアドバイスはありますか?

鮫島駿 デビュー前からもありましたがデビューしてからは、PCでレース映像を見てくれて、毎週日曜のレースが終わると電話でアドバイスをもらいます。日曜日は競馬が終わってすぐなので一番悔しい時だから父の言うことがよく理解できます。

 兄からは特に危ない乗り方をしたときは厳しく注意され、怒られますね。

競馬の職人

父・克也騎手からもアドバイスをもらう、と語る克駿騎手

常石 お父さんからは例えばどんなアドバイスがありますか?

鮫島駿 父はたくさん乗って、勝っているので父の言うことは的確でよくわかります。折り合いのこととか外に膨れたときとかの話などは奥が深いです。

常石 夏競馬に入り小倉競馬場で騎乗しているので、お父さん見に来られているんですか?

鮫島駿 佐賀競馬は土・日に競馬があるので見に来ることはできないんです。でもいつかは一緒のレースに出てみたいと思っています。父と並んでレースできるように1戦1戦大事に乗って結果を出していきたいです。

 小倉競馬場の中の乗馬クラブに通っていたので懐かしいです。馬場入場すると乗馬クラブがちらっと見えるんですよ。後輩や友達も応援に来てくれているので力が出ます。小倉におばあちゃんの家があり、週末はそこから乗馬クラブに通っていました。祖母にもいっぱいお世話かけましたね。騎手になれたのも祖母に協力してもらったおかげです。

常石 おばあちゃんは一番に喜んでくれたでしょうね。僕も祖母が応援しながらも心配もしてくれました。先輩などにもアドバイスもらいますか?

鮫島駿 はい。パトロールビデオ見ながら福永先輩に聞き、よく教えてもらっています。

常石 僕と同期のユーイチですね。あいつは頭がいいから話しが上手いのでわかりやすく説明してくれるでしょう。何でも聞いたほうがいいよ(笑)。

 減量のうちにいろんな厩舎から依頼をもらって経験を多くしたほうがいいね。3キロ減は馬にとって有利でちょっとでも軽いほうが走りやすいと思うよ。減量がなくなると馬が動かなくなるからね。

 先日は小倉記念に騎乗していましたね。初めての重賞レースはどうでしたか?

鮫島駿 初めての重賞レースでダービー4着馬タガノグランパに騎乗させてもらいました。跨って馬場入場するとファンファーレが鳴り、お客さんの歓声が「ウォー」と大きく、いつもの平場レースとは違ったこともあって緊張してしまいました。でもゲートだけはきちんと出ようと思い出ることが出来て良かったです。手応えもいいし能力の高い馬だったのにちょっとかかってしまい1、2コーナーで内々の狭いところに入って前の馬の脚に乗りかかってしまい『すいません』と声を出しましたが、どうしようもなくスムーズに動かせずに前の馬に迷惑かけてしまいました。うまく乗れずに厩舎の方にも先輩騎手にも迷惑かけてしまいました。手応えあっただけに悔しかったです。ちょっと怖かったですがすぐに謝りに行きました。『このレースは1回きりだよ。同じ馬とのレースはないから大事に乗らないともったいないし馬も人も危ないから』と注意とともにアドバイスもしてくれました。

 騎乗したタガノグランパは跨った感触も手応えも違いましたね。フェアには乗れなかったけれどまた乗せてほしいですね。

常石 迷惑かけたときは、すぐに謝るほうがいいよ。危険な仕事だからちょっとしたミスが大きな事故につながるからね。いい経験をしたと思う。僕がいいというか悪い見本かな? 落馬という事故を起こしてしまったからね。(苦笑)

 先輩には『踏むかと思って怖かったよ』と後から聞きました。

 自分のミスがよくわかり問題点を解決する手がかりになっていくのでそれも大事だと思うよ。

 しかし鮫島駿騎手は上手いですよね。13勝といい調子で勝ち星も上げ2、3着のおしいレースも続いていますよね。
(取材後に2勝を挙げています)

鮫島駿 ありがとうございます。小倉記念を制覇した松若先輩が騎乗したアズマシャトルは加用厩舎の馬でしょう。僕も6勝が加用厩舎の馬なので相性がいいんですよ。だから僕の馬は残念だったけど松若先輩が勝ってうれしかったしいい刺激を受けました。自厩舎やほかの厩舎でもたくさんのせていただいてるので結果を出せるように馬のいいところを見つけ大事に騎乗したいです。

常石 競馬学校でもアイルランド大使特別賞をもらっているでしょう。同期が4人では寂しかったでしょう。

鮫島駿 大使特別賞に恥じないように乗ります。小林淳一先生が教官になられたときだったので競馬のことも具体的に詳しく一人一人に時間をかけて教えていただきました。3年間ずっと一緒だったので実践的な訓練もしていただき31期生は良かったです。

 模擬レースなどは4人だったので先輩騎手が一緒に参加してくれ9頭立てでやりました。競馬では9頭立てだと少頭数になるんですが模擬レースの時は多いなと思い必死でした。学校にも来てくれ教えてもらったので早く乗りたかったですね。同期は4人だったけど面白かったです。Xマス会が印象に残ってますね。

常石 競馬学校ではいろんな行事が結構面白いよなー。僕もXマス覚えてるわ。ユーイチと亮(高橋亮調教師)が女子に変身してかわいかったのよ。先輩とも仲良くなれるからいい機会だよな。競馬学校を卒業し、プロの騎手になってどう感じましたか?

鮫島駿 いよいよプロになったという思いもありますが模擬レースと違い頭数も多いし、乗っていくうちに動きだったり手応えが違ったりいろいろ課題も見えてきて考えることが多いです。

常石 馬が違うからなー。スピードあるやろ。それに力もあるからしっかり跨っていないと振り落とされるからなー。

鮫島駿 速いですね。初めて乗ったときはびっくりしました。

常石 今までで印象に残る馬はありますか? 今期待している馬を教えてください。

鮫島駿 3月14日中京2Rでの初勝利の馬ですね。自厩舎のタピエスです。乗りやすく癖の少ない馬でした。競馬学校時代、実習に来た時から乗せてもらっていたのでこの馬で初勝利を挙げたいと期待していました。

競馬の職人

期待していたタピエスで挙げた初勝利

常石 初勝利一番乗りだったでしょう。おめでとうございました。

鮫島駿 ありがとうございます。カシノランドの8月2日のレースでは5着だったので今度は期待しています。(取材後の8月15日小倉3Rで1着)

常石 今週騎乗予定の新馬テゾーロミノルはどんな感じですか?

鮫島駿 昨年の函館2歳S覇者アクティブミノルの半弟で気性も素直で乗り易いし坂路調教ではいい動きしましたね。期待しています。(取材後の8月16日小倉5Rで3着)

常石 秋に向けて楽しみな馬がいっぱいいますね。これからの抱負を聞かせてください。

鮫島駿 2、3着も多く取りこぼしているので悔しいです。馬と向き合って持つ能力を100%出せるように馬を大事にし、乗っていきたいです。新人賞を狙いたいです。まずは30勝を目標にしたいです。父の背中を見て育ってきました。大きな存在ですが一歩一歩近づいていきたいです。

 父には騎手になれといわれたことも怒られたこともありません。先輩騎手として尊敬し僕自身も人として未熟なのでしっかり技術を磨き信頼される騎手になりたいと思います。騎手に必要な筋トレもやっています。多くの厩舎に応援してもらってるので期待に応えられるよう頑張ります。ぼくが跨る馬はとってもいい馬ばかりです。そんな馬の活躍を競馬場へ見に来てください。応援よろしくお願いします。

常石 今日はありがとうございました。

***

 キングシャークの愛称で知られる父・克也騎手、JRAでの先輩騎手兄・良太騎手とともに競馬界を盛り上げていってくれそうな大きなパワーを感じました。初勝利の時、兄の良太騎手がプラカードを持っているのが微笑ましかったです。次は新人賞のプラカードをもってもらえるよう頑張ってください。シャーク親子が同じレースで競う日が来るのをファンとして楽しみにまっています。応援しています。

 つねかつこと常石 勝義でした。

※編集注:今週の29日小倉9Rのひまわり賞で鮫島克也騎手、鮫島良太騎手、鮫島克駿騎手が同じレースに騎乗する可能性があります。

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常石勝義

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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