年度末を迎えるばんえい競馬

2016年02月27日(土) 12:00


今、やるべきことは何か

 もうすぐ3月。JRAではクラシックを目指す馬たちのトライアルレースが続き、春到来を告げる季節を迎えます。

 一方、3月が年度末となるばんえい競馬は、シーズン締めくくりの重賞競走が目白押し。28日は今季の重賞勝ち馬が顔を揃えるチャンピオンC、来月6日は明け3歳世代の王者を決めるイレネー記念、13日は4、5歳のトップホースが激突するポプラ賞、そして20日は、年に一度の大一番・ばんえい記念と、“怒濤のビッグレース4連チャン”が待ち構えています。

 おかげさまでばんえい競馬の馬券はこのところ“絶賛発売中”。他の地方競馬と違ってJRAの投票システムでは買うことができないにもかかわらず、今年度ここ(1月末)までの売上は前年同期比プラス13.4%と大健闘しています。近ごろは園田・姫路競馬の場外発売所・DASHでも買えるようになり、全国的にファン層を拡大しているところでもあります。

 ところがばんえいでは、去年、あってはならない不祥事が明るみに出てしまいました。現役騎手を含む厩舎関係者数名が、競馬法で禁止されている馬券購入を繰り返していたというのです。

 さらに先週は、この事件が発覚して以来、競馬場の厩舎地区で何者かによる“嫌がらせ行為”が多発している、とも報道されました。これらはすべて、せっかくの好調ムードに水を差す出来事。このコラムでそれに関する話を書くのはイメージダウンを助長するようで「いかがなものか」と思っていたのですが、今度ばかりはガマンしきれなくなってしまいました。「オマエごときが何を!」という方もいらっしゃるとは思いますが、あえて言わせてもらいます。

 不祥事はいつかは明らかになるもの。ひとたびそういう事態に陥ったら、関係者が一丸となって信頼回復に努めなければなりません。それなのに、関係者同士で足の引っ張り合いをしてどうしようというのですか!

 厩舎内での“嫌がらせ”なんていうのは言語道断。競馬ファンはもちろん、競馬には興味のない人たちから、今の自分たちがどういう目で見られているかを全く心得ていない行為としか思えません!

 06年秋に廃止寸前まで追い込まれながら、その後10年近くにわたって続けてこられたのは、全国のファンの支えがあったからこそ。それを、肝心かなめの現場関係者の内部分裂で潰してしまうかもしれないのですよ!「馬券が売れているから大丈夫」なんて思っていたら、思い上がりもいいところです!「今、やるべきことは何か?」、よく考えてください!!!

 今後も私は、ばんえい競馬を応援します。来月7日は船橋競馬場での場外発売にあわせた予想トークショー、17日は新橋Gate J.のばんえい記念前夜祭に出演して、PRを続ける所存です。その場では、こういう話は一切しないでしょう。当コラムに書くのも、これが最初で最後にしたいと強く思っています。

バックナンバーを見る

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

関連情報

新着コラム

コラムを探す