【石川裕紀人×笹川翼】ネクスト世代の向上心(2) 「競馬も黄金世代と呼ばれるように」

2017年05月08日(月) 18:01

ギャロップ翼

▲石川裕紀人騎手(JRA)をゲストに迎えた対談企画の最終回

昨年に地方所属の若手騎手としては異例となるフランス遠征を敢行した笹川騎手。その話題をきっかけに石川騎手も海外遠征の意欲を語ります。さらに対談の最後には同世代のスポーツ選手の活躍に対するもどかしさと、リーディングへの決意を告白。そこにふたりが"若手のホープ"と呼ばれる所以がありました。(取材・文:赤見千尋、撮影:榎本良平)


20代のうちにリーディングを

――去年笹川騎手が9月から10月にかけてフランス遠征(※騎乗技術研鑽のため、1ヶ月間の仏遠征を敢行)に行った時、石川騎手も行こうとしていたそうですね。

石川 その時期にケガをして休養していたので、もしかしたら行けるかもしれないと思って笹川君に連絡したんです。結局ケガが治り切っていなかったので、その状態では危ないと病院で言われて行けなかったんですけど、海外に行きたい気持ちは強いです。1ヶ月行ってた笹川君が羨ましいです。競馬も乗っていたよね。

笹川 計4レースに乗せていただきました。本当にすごくいい経験になったし、現地に行くと全然違いますね。

――マカヒキと併せ馬したんですもんね。

笹川 本当にたくさんの方々にお世話になって、すごく貴重な経験をさせていただきました。日本のトップホースを間近で見られて、毎日毎日いろいろ深くまで考えてましたね。競馬もすごくタイトで、馬群が密集していて怖かったです。馬場もボコボコだし。

石川 芝のレースに乗ったの?

笹川 そうそう、芝。直線だけで2000mくらいあるコースの競馬場で、1600mの新馬戦だったんだけど、ペースもわからないし、馬もまだしっかりしてなくて手前ばっかり替えるし…。

ギャロップ翼

▲仏では計4レースに騎乗。左奥は日本でも活躍したO.ペリエ騎手(写真:笹川騎手提供)

石川 ペースは遅いの?

笹川 めちゃくちゃ遅い(苦笑)。最初は(1ハロン)14とか。

石川 うわ、すごく遅いんだね。

笹川 3000m戦の時は、上がって来た時腕がもうパンパンだった。前の馬(の後ろ脚の蹄鉄と騎乗馬の前脚の蹄鉄)が当たってカツカツいっていたし。

石川 そんなに間隔がないんだ!

笹川 でも周りを見たらみんなそんな感じだった。いつもそういう競馬をしてるからみんな耐えられるし、馬もそれ以上は行かないから。調教も同じで、隊列になって走るんだけど、前の馬との距離がすっごく近いの。

――調教場にはラチとかないんですよね?

笹川 ないですね。カラーコーンが置いてあります。

石川 え? ハロン棒みたいに置いてあるの?

笹川 違う違う。ラチみたいに、50センチくらいの高さのコーンがポンポンて並べてあるの。

石川 それだけなの(驚)。

笹川 ハロン棒とかないし、霧がすごくて全然見えないし、時計は取らないし。向こうは時計よりも動き重視なんですよね。あと、坂路とかも4000mくらいあって。長すぎちゃって誰も下まで行かないんだって(笑)。もうとにかくスケールが大きかったです。

ギャロップ翼

▲驚きの連続だった仏遠征に「もうとにかくスケールが大きかったです」

石川 僕も経験してみたいな。経験するのとしないのとでは、絶対に違うはずだから。

――予定はありますか?

石川 今のところ具体的な予定はないんです。行きたい! という気持ちは常に持っています。

――今たくさんいい馬に乗せてもらっている中で、長期的に休むというのは難しいですよね。

笹川 そうですね。それは僕も一番考えましたけど、帰って来て“いい競馬をしていればまた戻って来る”と思って行かないと、行けなくなってしまうので。

石川 僕も行きたいけど行けないのは、どのタイミングがいいか分からないから難しいというのもあるんだよね。

笹川 中央は余計に難しそう。ただでさえ、勝っても違う人に乗り替わられちゃうから。

石川 昔よりもシビアだとは多くの先輩方も言っていますね。海外に行くタイミングは探り中というか、お世話になっている方々もいるので、自分だけのタイミングではないかなと。本当にたくさんいい馬に乗せていただいているので、そういう方々への恩返し、それにちゃんとどういった目的で海外へ行くのか理解してもらわないといけないかなと思います。いつか海外に行ける時がきたら、フランスに限らずいろんな競馬場に行ってみたいですね。いろいろな国もそうだし、その国の中でもいろいろな競馬場があるわけじゃないですか。そういうのを肌で感じて学びたいです。

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▲「いつか行ける時がきたら、いろんな競馬場に行ってみたいですね」

――石川騎手は、「凱旋門賞を日本人で初めて勝つのは僕です!」と言ったんですよね。

石川 言いましたね。競馬学校の2次試験の面接(笑)。

笹川 その目標が言えるのはすごい。

石川 僕は凱旋門賞を勝つことが昔からの夢なんです。大きな夢だということはわかってますけど、だからこそ挑みたいですし、世界で戦えるようなトップジョッキーになりたいです。そこを目指してコツコツ頑張っていきます。

笹川 着実に近づいてる。

石川 1cmずつでも近づいていければ。まだまだ全然ですけどね。

――笹川騎手はまた海外に行く予定はありますか?

笹川 アメリカに行ってみたいという気持ちがあって、近々というかタイミングがあれば行きたいと思ってます。所属の米田(英世)先生が「いろいろ見てこい」と言ってくださる方なので、本当に有り難いですね。1ヶ月離れるとなると難しいかもしれないですけど、どこかのタイミングで行くつもりです。

――同世代のお2人ですが、いつかこの世代でトップを獲りたいというお気持ちはありますか?

笹川 もちろんです!

石川 僕も同じくです。

――お互いに意識はしていますか?

石川 同世代としての意識はすごくしています。

笹川 石川君の競馬はよく見てますし、“ここすごいな”とか、たくさん刺激を受けています。普段戦う場所が違うので、ライバルという意識はあまりしていないですね。

石川 たまに地方交流で僕が乗りに行ったり、笹川君が中央に来たりとかで一緒に乗ることもあるので、その時は負けられないっていう気持ちになりますけど、普段は舞台が違うので、僕もライバルという意識はあまりないですね。同世代として、中央のトップ、地方のトップを目指していきたいです。これからお互い名前が売れて行けばいいですね。

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▲「同世代として中央のトップ、地方のトップを目指していきたいです」

――他のスポーツとは違って、新人騎手、若手騎手が活躍するきっかけが難しい世界ですよね。

石川 競馬は本当に難しいですよね。オリンピックとかは20代前半の人たちがすごく活躍しているじゃないですか。この前テレビを見ていて、黄金世代とかやってて。フィギュアスケートの羽生選手とか、野球の大谷選手とか、すごく活躍してるじゃないですか。すごいなと思う反面、僕らも同じ世代なので、悔しい気持ちもあります。競馬でも黄金世代と言われるようになれればもっと盛り上がるんじゃないかなって思うんですよね。だから僕らがもっと頑張らないといけないと思います。

笹川 僕、大谷選手と同い年ですから。競馬もそういう風に新しい風を吹かせていきたいです。僕たち2人がっていうより、率先して盛り上げていきたいですね。一緒に頑張っていきたいです。

――どのくらい先にリーディングを見てますか?

石川 やっぱり20代のうちにはと思います。簡単なことではないですけど、そのために努力していきます。

笹川 20代のうちに獲ったら早い方ですよね。僕もそれが理想です。

――競馬界はベテラン勢がまだまだ健在です。

石川 だからこそ日々の競馬がとても勉強になりますし、少しずつでも近づいて、いつか抜きたいです。

笹川 ベテランの方が引退して繰り上がったのでは、意味がないですから。先輩方は本当に偉大ですけど、その方たちを抜いてトップに立ちたいです!

ギャロップ翼

▲黄金世代と言われるために「僕らがもっと頑張らないといけないと思います」

(了)

※次回は5月22日(月)18時配信予定です


撮影協力:競馬観戦型レストラン「ダイアモンドターン」

 大井競馬場内4号スタンド4階にある競馬観戦型レストラン「ダイアモンドターン」が、2017年4月よりリニューアルオープンしました!

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▲▼「ダイアモンドターン」が4月からリニューアル!

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 落ち着きのある洗練された空間で、ブッフェ料理を味わいながら白熱のレースが観戦できます。お二人様用席やグループ席からパーティールームまでご用意しており、競馬ビギナーを連れて観戦される方にもおすすめです。

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▲カップルシートやグループ席など、用途に応じてお席をお選びいただけます

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▲レストラン自慢のブッフェ料理

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笹川翼(大井)

1994年7月17日生、新潟県出身。2013年4月7日に米田英世厩舎(大井)からデビューすると初年度から43勝を挙げ、NARグランプリ優秀新人騎手賞を獲得。重賞勝利に勝島王冠(15年)、船橋記念(16年)、ハイセイコー記念(16年)。

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