2017年05月10日(水) 18:00
記者がまだこの世界に入る前の一競馬ファンだったころ、オグリキャップのマイルCS→ジャパンC連闘(1989年)で見せた根性の走りに涙したものだ。ハードに使うことは「動物愛護」の名の下にバッシングを受ける要因にもなるが、この世界に入ってわかったことがある。それは誰もが“飯の種”でもあるサラブレッドに、並々ならぬ手間と愛情を注いでいることだ。
「自分の稼ぎをくわえて帰ってきてくれるんだから。自分以上に大切に扱うのは当たり前だろう。動物というのは手をかければ必ず返してくれるんだよ」とは名伯楽と呼ばれた松田博元調教師の言葉。大なり小なり、この精神はホースマンに息づいている。
「坂路の申し子」と言われたミホノブルボンがクラシック準3冠(皐月賞、ダービー制覇、菊花賞2着)を達成した92年当時は、まだ坂路調教のノウハウすらなかった。管理していた故戸山調教師は自らの経験則で「鍛えられるギリギリ」を攻めていたのだろう。そこには多くの失敗と成功があり、その経験が後進に伝えられてきた。
「坂路3本乗り」を取り入れたキタサンブラックは、その象徴ではなかろうか。同じ清水久キュウ舎で・・・
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