16/17年シーズンの香港開催が終了し授賞セレモニーが行われた

2017年07月19日(水) 12:00


◆豪州産馬ラッパードラゴンが年度代表馬に選出された

 16日にシャティン競馬場で行われた開催をもって、香港における16/17年シーズンの開催が終了した。

 昨季の83日から今季は88日に年間開催日が増え、施行競走数も22競走増加。年間の馬券総売り上げ1174億5600万香港ドル(約1兆7583億円)は、前年比で10.66%増加し、14/15年シーズンにマークした1079億2500万ドルを上回り、年間売り上げの新記録を樹立した。

 また、年間入場者数の216万7000人は、前年比で6.1%増だが、開催日1日あたりの入場者数2万4600人は、前年とほぼ同数だった。

 開催最終日に先立ち、14日(金曜日)にはホテル・グランドハイアットで、年間表彰の「チャンピオン・アワード」の授賞セレモニーが行われ、16/17年シーズンの香港年度代表馬にラッパードラゴン(セン4、父ストリートボス)が選出された。

 ラッパードラゴンは豪州産馬。祖国で5戦1勝、G1シャンパンS(芝1600m)2着などの実績を残した後、15/16年シーズンから香港に在籍。昨季の最終戦となったHKG3ライオンロックトロフィー(芝1600m)で重賞初制覇を果した。4歳を迎えた今季は、香港クラシックマイル(芝1600m)、香港クラシックC(芝1800m)、香港ダービー(芝2000m)という香港4歳シリーズを、史上初めて完全制覇する快挙を達成。

 その後、G2チェアマンズトロフィー(芝1600m)で、G1香港マイル(芝1600m)勝ち馬ビューティーオンリー(セン6、父ホーリーローマンエンペラー)を含む5歳以上の精鋭を完封して優勝。

 いよいよ香港競馬はこの馬の天下到来かと見られたが、続くG1チャンピオンズマイル(芝1600m)で、レース中に骨盤骨折を発症。予後不良と診断され、安楽死処分になるという、悲劇的最期を迎えた。ラッパードラゴンは、最優秀中距離馬、ファン投票で決まる最高人気賞もあわせて受賞している。

 最優秀短距離馬賞は、暮れのG1香港スプリント(芝1200m)で自身5度目のG1制覇を果したエアロヴェロシティ(セン8、父ピンズ)が受賞。今季一杯で現役を退いた同馬には、特別功労賞も授与されている。

 最優秀マイラー賞は、暮れのG1香港マイル(芝1600m)を含む2重賞を制したビューティーオンリー(セン6、父ホーリーローマンエンペラー)が、最優秀長距離馬賞は、G1香港ゴールドC(芝2000m)、G1チャンピオンズ&チェイターC(芝2400m)を制したワーザー(セン5、父タヴィストック)が、それぞれ受賞している。

 また、今季から香港で走り始めた馬を対象とした最優秀グリフィンには、3勝を挙げたプルミエール(セン3、父ディランントーマス)が選ばれている。

 更に、エアロヴェロシティ同様に今季一杯で現役を退いた、14/15年シーズンの香港年度代表馬エイブルフレンド(セン7、父シャマーダル)にも、G1・5勝(ローカルG1を含む)の実績を讃えて、特別功労賞が贈られた。

 16日にシーズン最後の開催が施行され、これが終わった段階で確定した、チャンピオン・アワード受賞馬と受賞者もいる。

 最優秀調教師賞は、年間で95勝を挙げ、2位のジョン・ムーア(67勝)に28勝もの大差をつけてリーディングの座に就いた、ジョン・サイズが受賞した。同師のリーディングはこれで、2シーズン連続9回目のこととなる。

 最優秀騎手賞は、年間で171勝を挙げて今季もリーディングの首位を独走した、ジョアン・モレイラ騎手が受賞。14/15年シーズンに、それまでダグラス・ホワイトが持っていた114勝を大幅に更新する、年間145勝という香港における年間最多勝記録を樹立したモレイラ。

 以降、15/16年シーズンが168勝、そして今季が171勝と、3季連続で新記録を塗り替えている。モレイラは同時に、ファン投票で選出される最高人気騎手賞も受賞している。

 地元出身の騎手に送られるトニー・クルーズ賞は、年間で25勝を挙げたK・C・レオンが受賞。この1年でレイティングが最も上昇した馬に送られるモスト・インプルーヴド・ホース賞は、シーズン当初はレイティング56でクラス4に所属していたのが、レースン末にはG3シャティンヴァーズ(芝1200m)で2着となって、レイティングが111まで上昇したディービーピン(セン4、父ダルシブラーマ)が受賞。

 ファン投票で選ばれる最優秀外国調教馬賞は、豪州の女傑ウィンクス(牝5、父ストリートクライ)が受賞している。

 香港における17/18年シーズンは、9月3日にシャティンで行われる開催をもって開幕し、16/17年シーズン同様に、88日の開催が施行される予定だ。歳末恒例となった香港国際競走は、12月10日に予定されている。

 4競走のうち、G1香港ヴァーズ(芝2400m)の総賞金が、昨年の1650万香港ドルから、17年は1800万香港ドル(約2億6946万円)に増額されることも、明らかになった。

 また、G1クイーンエリザベス2世C(芝2000m)は来年4月29日に。G1チャンピオンズマイル(芝1600m)とG1チェアマンズスプリントプライズ(芝1200m)は、来年5月6日の開催となる。

 クイーンエリザベス2世Cの総賞金が、従来の2000万香港ドルから、来年は2400万香港ドル(約3億5928万円)に、チャンピオンズマイルの賞金が、従来の1600万香港ドルから、来年は1800万香港ドル(約2億6946万円)に、チェアマンズスプリントプライズの総賞金が、従来の1400万香港ドルから、来年は1600万香港ドル(約2億3952万円)に、それぞれ増額されることも、あわせて発表されている。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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