ばんえい十勝・ジョッキーリレートークショー

2017年08月05日(土) 12:00


◆ばんえいでは初の試みもおもしろい話を聞くことができました

 先週7月30日、ばんえい十勝・帯広競馬場でジョッキーとのリレートークショーに出演してきました。

 開催日の真っ最中に、時間的余裕があるジョッキーを一人ずつステージに上げて話を聞くという、ばんえいでは(たぶん)初の試み。今回は、船山蔵人、藤本匠、長澤幸太、阿部武臣の4騎手に登壇してもらいました。みなさんによく喋っていただいたおかげでおもしろい話を聞くことできたので、その中からいくつかをご紹介しましょう。

 トップバッターは船山蔵人騎手。思い出の馬としてオイドン、これから期待している馬としてセンゴクエースを挙げてくれました。どちらにも共通しているのは、なにしろ走る気満々だということ。きゅう舎エリアで手綱を引いているときに、それをふりほどいて逃げられちゃったことがあったそうです。

 ただ、オイドンの場合は、何度か逃げられたことがあったものの、そこらへんを走り回った後は必ず自きゅう舎の水浴び場に戻っていたとのこと。馬の帰巣本能はオイドンでも証明されたわけです。

 そのくらい走る気が強いということは、ばん馬にとって“諸刃の剣”。ソリの目方が重くなると一気には駆け抜けられないので、どこかで休ませなければいけません。騎手の言うことをきいて、十分に息が入るまで止まっていられるかどうか。走る気満々の馬はそこが課題になる、という話でした。

 ベテランの藤本匠騎手は、前人未踏の4000勝が目前に迫っています。デビューは1983年。ここまで長くやれるとは想像していなかったそうですが、長くやってこられた秘訣を聞くと、「大きなケガも大病もしなかったことかな」との答え。まさに無事これ名騎手です。

 その藤本騎手が今、期待している馬はオレノココロ。実はこの馬、同騎手のお手馬コウシュハウンカイのライバルなのです。なぜそれを挙げたかというと、「なにせ強いから」。確かに、ばんえいダービー、天馬賞といった同世代のチャンピオンを決めるレースを制し、5歳になってからはいよいよ古馬重賞にも挑戦、昨シーズンは夏のばんえいグランプリと頂上決戦のばんえい記念にも優勝しました。「いつかはコウシュハウンカイにも強くなってもらって負かしたいんだけど、やっぱりあの馬は強いよ」。藤本騎手にそこまで言わせるオレノココロは、ただ者じゃありません。

 長澤騎手には、騎手の生活ぶりのほか、トレーニングで筋骨隆々の肉体を作り上げているなんていう裏話も披露してもらいました。阿部騎手には、同日の重賞・ばんえい大賞典で騎乗するミノルシャープへの熱い期待を話してもらったんですが、同馬は残念ながら4着。でも、まだまだよくなる馬だそうですから、追いかけてみるのもおもしろいかもしれません。

 定期的に開催してもいいんじゃないか、と思ったほど、楽しいイベントでした。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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