カツジという名の重み「でも、やっていくしかない」覚悟を決めた池添兼師/吉田竜作マル秘週報

2017年09月20日(水) 18:00


◆亡き友にささげる走りを陰ながら応援したい

 夢枕獏さんの有名小説「陰陽師」で、安倍晴明が「名前はこの世で一番短い呪(しゅ)」というせりふを語っている。「眼に見えないものさえ、名前をつけることで縛ることができる」と晴明は作中で解説するのだが、これはいろいろな解釈ができて面白いと思ったものだ。

「名は体を表す」とも言うが、生まれたてで何も分からない赤子も、その名前に期待を込められることで方向づけをされて、その一方で他の可能性を閉じ込めてしまう。親というのは何とも身勝手な…そんな取り方をしてしまうのは、記者が相当にひねくれている証左と言えるか。

 競馬場にいるサラブレッドは生まれてすぐではなく、競走馬登録を行う際に名前がつけられる(もちろん、生まれてすぐに牧場で幼名はつけられるのだが)。馬主はいろいろな思いをその名前に込めるものだが、ある一部の人間が嫌うことがある。それが“人名”だ。「走ってくれればいいが、走らなかったらその本人にも、名前をつけた馬主もいいことがないからね」とは某競馬関係者。

 サラブレッドの半数以上が未勝利に終わる。その中でオープンまで出世し、なおかつコンスタントに賞金を稼ぐ馬はごくわずか。人間でいえば東大、京大に合格する以上に厳しい確率。それを考えれば、人名、それも前途のある人間の名前をつけ、いらぬプレッシャーを避ける人がいても不思議ではないといえる。・・・

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東京スポーツ

2010年に創刊50周年を迎えた夕刊紙。競馬確定面「競馬トウスポ」(大阪スポーツは「競馬大スポ」、中京スポーツは「競馬中京スポ」)は便利な抜き取り16ページで、中身は東スポグループだからこその超充実ぶり。開催3場の全36レース(2場開催の場合は全24レース)の馬柱を完全掲載しています。

関東・舘林勲、大阪・松浪大樹の本紙予想のほか、記者による好評コラム(「一撃・山河浩、馬匠・渡辺薫など)、そして競馬評論家・井崎脩五郎、爆笑問題の田中裕二、IK血統研など超豪華執筆陣の記事も読みごたえたっぷり。馬券作戦に役立つ情報が満載です。

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