メルボルンで5週間にわたって展開される「スプリング・カーニヴァル」がスタートする

2017年10月04日(水) 12:00


◆ここが今、海外競馬のホットスポット

 欧州2400m路線の最高峰と言われる凱旋門賞が終わった。

 海外競馬のカレンダーの中で、それは確かにひとつの区切りではあるが、しかし、これからも世界の各国で、見逃せない競馬開催が続いていく。

 例えば、イギリスでは10月21日にアスコット競馬場で、「ブリティッシュ・チャンピオンズデイ」が開催される。これまでの通例だと、ブリティッシュ・チャンピオンデイは凱旋門賞ウィークから中1週で組まれていたが、今年はこれが中2週に変わり、凱旋門賞ウィークからブリティッシュ・チャンピオンズデイというローテーションが、より現実的なものとなった。4つのG1を含む5つの重賞が組まれたブリティッシュ・チャンピオンズデイは今年、一層充実したメンバーが集まるはずだ。

 アメリカに目を転じれば、北米競馬の祭典と言われるブリーダーズCが、開催地となるのはこれが初めてのデルマー競馬場(カリフォルニア州)を舞台に、11月3日・4日の2日間にわたって催される。ディフェンディング・チャンピオンのアロゲイト(牡4、父アンブライドルズソング)、そのアロゲイトを完封したG1パシフィッククラシックS(d10F)を含めて目下4連勝中と破竹の勢いで勝ち進んでいるコレクテッド(牡4、父シティジップ)、東海岸でG1・3連勝中のガンランナー(牡4、父キャンディライド)による三つ巴と言われているメイン競走のG1BCクラシック(d10F)が、どんな結末を迎えるのか、世界が固唾を飲んで見守ることになりそうだ。

 そして、10月14日から「スプリング・カーニヴァル」がスタートするのが、オーストラリアのメルボルンである。

 日本の皆様には、まだ馴染みが薄いかもしれないが、ここが今、海外競馬のホットスポットとなっている。

 かつて、この時季のオーストラリアは、G1メルボルンC(芝3200m)のみが傑出した存在だったが、時代は変わった。今や、メルボルンCとその前哨戦のみならず、様々な距離カテゴリーの高額賞金競走がこの時季のメルボルンに集約されているのだ。具体的には、なんと15のG1を含む45もの重賞競走が、11月11日のカーニヴァル最終日まで5週の間に、組まれているのである。世界各地でビッグレースの「集約開催」が花盛りの時勢ではあるが、これほど多数の重賞が集められた開催は世界的にも例がなく、まさに競馬カーニヴァルの名称に相応しい、競馬ファンには堪らない5週間となっている。

 開幕週と2週目は、舞台がコーフィールド競馬場で、開幕週(10月14日・土曜日)のメイン競走は3歳馬によるG1コーフィールドギニーズ(芝1600m)だ。これをサポートするのが、総賞金100万ドルのG1コーフィールドS(芝2000m)や、50万ドルのG1トゥーラックH(芝1600m)という、豪華な開催となっている。

 2週目(10月21日・土曜日)は、豪州における芝12F戦線の春の総決算で、315万ドルという高額賞金がかかったG1コーフィールドC(芝2400m)がメイン競走だ。そして3週目は、舞台がムーニーヴァレイ競馬場に移り、まずは27日・金曜日に、総賞金100万ドルのG1マニカトS(芝1200m)が組まれている。そして、翌10月28日のメイン競走が、芝10F路線の最高峰となるG1コックスプレート(芝2040m、総賞金300万ドル)だ。豪州に出現した歴史的名牝ウィンクス(牝6、父ストリートクライ)の3連覇がかかったこのレースもまた、世界中の関係者とファンの熱い視線を集めること必定だ。

 4週目になると、舞台はフレミントン競馬場に移る。11月4日・土曜日は「ダービー・デイ」で、G1ヴィクトリアダービー(芝2500m)がメイン競走となる。アンダーカードとなるのが、古馬のG1カンタラS(芝1600m)だ。

 そして、カーニヴァルのハイライトとなるG1メルボルンC(芝3200m、総賞金620万ドル)が施行されるのが、11月7日・火曜日だ。”The race that stops a nation=国の動きを止めるレース”と称される国民的行事で、ヴィクトリア州はこの日が、祝日に制定されている。前日の6日には、過去の優勝馬や今年の出走馬関係者が参加するパレードが、市内の目抜き通りで催されるなど、この期間は街全体がお祭りムードに包まれるのだ。

 目下、ブックメーカー各社が7倍から8倍のオッズを掲げて1番人気に推しているのは、このレース連覇を狙うアルマンダン(セ7、父モンズン)だ。

 メルボルンCから中1日おいて、11月9日・木曜日が、G1VRCオークス(芝2500m)がメイン競走となる「オークス・デイ」となる。

 そして、カーニヴァルのフィナーレとなる11月11日・土曜日には、グローバルスプリントチャレンジ第9戦のG1ダーレークラシック(芝1200m)や、G1エミレイツS(芝1600m)が組まれている。残念ながら今年、スプリングカーニヴァルに参戦する日本調教馬は1頭もいないが、5週間にわたって展開される名勝負の数々に、日本の競馬ファンの皆様もぜひ、ご注目いただきたい。そして、機会があればぜひ、訪れていただきたいのが、メルボルンのスプリング・カーニヴァルである。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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