【きさらぎ賞】松若騎手の“苦い経験”に理解「“勝ちたい”よりも、まずは馬の癖を出させないこと」

2018年02月08日(木) 18:02

with 佑

▲きさらぎ賞から1番人気で9着に敗れた松若風馬騎手の騎乗を解説 (c)netkeiba.com

今週はきさらぎ賞(GIII)をピックアップ。逃げ切り勝ちを収めたサトノフェイバーら上位3組を評価する一方、哲三氏が最も熱く話すのは1番人気で9着に敗れた松若風馬騎手の騎乗について。『乗り替わりでの1番人気』という重圧を理解した上で、技術でカバーできたであろう点を指摘した後、若き日の自身の失敗を明かしながら、次代のスター騎手に愛あるエールを送ります。(構成:赤見千尋)


松若騎手へ「根性決めて上を目指して欲しい」

 今週はきさらぎ賞を振り返ります。まず上位3人(古川吉洋騎手、ミルコ・デムーロ騎手、藤岡佑介騎手)は、レースの中でやっていいこと、ダメなことがしっかりと出来ていたなと感じました。

 勝った古川君は本当に好調ですよね。テイエムジンソクの回でも触れましたが、馬の全身を上手く使った走りができているんです。その馬によって体幹が違う中で、動きを邪魔しない推進を促すことが出来る。昔から馬を動かせるジョッキーだと思っていましたが、今の好調に繋がっているのはこの部分ではないかと思います。これからもっともっと高みを目指して欲しいジョッキーですね。

 2着だったミルコは、いつも通りレースの主導権を握って勝てるポジションに付けていた。もちろんそれで勝てる時もあれば今回のように負けてしまう時もあるけれど、後方にいて「スローだ」と判断したら瞬時に動くことが出来る。そこで動いても、俗に言う“持っていかれない”んですよね。

 この話は何度か繰り返していますが、“引っ掛かる”という感覚があまりないんだと思います。そこの部分のプレッシャーだったり、引っ掛かるということに対するストレスが少ないから、迷わず動くことが出来る。それは簡単なことではなくて、いろいろな部分で気を配っているだろうし、自分の技術に絶対的な自信があるからこそだと思います。

 3着だった佑介も、自分の乗っている馬の特徴を活かしたレースの中で、少しでも上の着順をという競馬をしていました。「京都の中距離は得意」と自分で言えるくらい、騎手の醍醐味をわかってきたのかなと思いますし、その分さらに欲が出てきたのかなと。

 以前僕が、「今競馬が楽しくないんじゃない?」って聞いた時期があったんですけど、もうその頃の佑介はいないです。もちろん失敗することもあるけれど、修正しながら上を目指して上手くなっていく過程というのが、今の佑介は楽しいんじゃないかな。悩んで苦しんだ分のご褒美は、GIを勝つことであって欲しいですね。

with 佑

▲「上を目指して上手くなっていく過程というのが、今の佑介は楽しいんじゃないかな」(c)netkeiba.com

 松若(風馬)君は1番人気のダノンマジェスティに騎乗して9着と、残念な結果になってしまいました。僕はこの馬に乗ったことがないので何とも言えないけれど、見ている限りではなかなか難しい癖を持った馬だと思います。そういう馬に乗り替わりで騎乗して、人気もあって、プレッシャーも大きかったのではないでしょうか。

 松若君は若手の中でも馬乗りが達者なジョッキーだと思いますが、今回は・・・

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佐藤哲三

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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