【桜花賞】アーモンドアイの武器を最大限に生かす“何もしない技術”

2018年04月12日(木) 18:01

哲三の眼

▲アーモンドアイが繰り出した“33.2”は、上がり2位にジャスト1秒差をつけた (c)netkeiba.com

桜花賞(GI)は無敗を誇るラッキーライラックが理想的なレース運びから直線で先頭に躍り出るなか、2番人気のアーモンドアイが後方2番手から強烈な末脚を繰り出し逆転優勝。“上がり33.2”のタイムは上がり2位のトーセンブレスにジャスト1秒も差をつける内容で、牝馬クラシックの1冠目は名牝の誕生を予感させる結果となりました。今回はあの末脚を繰り出すために必要な馬の造り、そしてルメール騎手のレース後コメントに見る“何もしない”ことの難しさを解説します。(構成:不破由妃子)


あの末脚は『優れた体幹と肩甲骨の柔軟性』があってこそ

 先週の桜花賞は、ずっと注目していたラッキーライラックの石橋脩君が「これで負けたら仕方がない」という完璧なレースを見せ、リリーノーブルの川田君も、「勝つ乗り方」を見せてくれました。しかし、そんな彼らをまとめて差し切ったのが、クリストフ(・ルメール)&アーモンドアイ。今回の桜花賞は、全馬を通してロスのある騎乗がほとんどなかっただけに、アーモンドアイの強さがより一層引き立ちました。

 後述しますが、もちろんクリストフも巧かった。が、今回まず取り上げたいのは、やはりアーモンドアイの走りです。

 肩の柔軟性と首を使ってバランスを取りつつ、蹴りの回転を速くしたり、より踏み込んだり。少し大げさに言えば、馬自身が変幻自在にフォームを変え、その時々で自分が走りやすいフォームを探しているように見えました。手前をコロコロ替えていましたが、おそらく苦しがっていたのではなく、それこそ走りやすいフォームを求めてステップを替えていたのだと思います。

■4月8日 桜花賞(13番:アーモンドアイ)

 そういった走りを可能にしているのは、優れた体幹と肩甲骨の柔軟性があってこそ。とにかく肩甲骨からの前脚の出し方が特徴的で、それはディープインパクトやブエナビスタと共通するものです。さらに・・・

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佐藤哲三

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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