豪州の生産業界は“ディープインパクトブーム” 女傑ウィンクスの母も交配予定

2018年04月19日(木) 18:00

ビクトリア競馬便り

▲豪のセールでも注目を集めているディープインパクト(撮影:田中哲実)

(4月19日号 文=ポール・シムズ)

 オーストラリア、メルボルンから競馬にまつわる話題をお届けする「ビクトリア競馬便り」。今週号は、日本から移籍した馬のレースの話題の他、日本の種牡馬を父に持つ産駒が、豪州の競馬マーケットに登場した話題をお届けします。

豪G1馬シングルゲイズが日本へ輸出

 オーストラリアのG1戦線で活躍を見せていたシングルゲイズ(牝5歳)が、現役を引退し、今後は日本のノーザンファームで繁殖馬になることが発表された。同馬はすでに北海道への移動を済ませている。14日にランドウィック競馬場で行われたG1シドニーC(3200m)に出走を予定していたシングルゲイズだったが、血液検査の結果、赤血球の数が通常値よりも低いことが判明。管理するニック・オリーヴ調教師が同レースへの出走を回避し、引退することが決まったのだ。通算33戦5勝、12度の入着、獲得した賞金は236万豪ドル(約1億9600万円)に達した。シングルゲイズは2016年のG1ヴァイナリースタッドS(2000m)でG1初制覇を果たした。

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▲豪G1馬シングルゲイズが日本のノーザンファームで繁殖馬に

 小柄な体で粘り強い走りを披露してきたシングルゲイズは、2017年のG1コーフィールドC(2400m)で2着に善戦し、さらにG1メルボルンCにも出走。今週、関係者に見送られながら、日本最大の生産牧場へ向けて旅立っていった。

日本のディープインパクトが豪州でも大きな“インパクト”

 4月9日から11日までシドニーで行われた「イングリス・イースター・イヤリングセール」で、100万豪ドルを超える価格で落札され、最も注目を集めたのが、アロウフィールド・スタッドから上場された2頭のディープインパクト産駒だった。

 ウィンクスの調教師で知られるクリス・ウォーラー師のウォーラー・レーシングが110万豪ドルで購買したのは、母アルヴァータの牝馬。そしてもう1頭は、ドバイ王族の一族であるシェイク・モハメド・ビン・ハリファ・アル・マクトゥームが100万豪ドルで購買した母チャーミングエステルの牝馬である。

 今、オーストラリアの生産業界はディープインパクトブームが巻き起こっている。例えば、先日25連勝を果たしたウィンクスの母ヴェガスショーガールは、豪州の生産シーズンに合わせて日本に渡り、ディープインパクトが交配されることになっている。

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▲ウィンクスの母ヴェガスショーガールが来日し、ディープインパクトが交配される予定(撮影:田中哲実)

 ヴェガスショーガールの所有者ジョン・キャミラリ氏と、ウィンクスが繋養されているセゲンホー・スタッドのゼネラルマネージャーであるピーター・オブライエン氏のタッグによると、この豪州最高クラスの繁殖牝馬は、ディープインパクトを受胎した後に帰国させる予定で、来年新たなディープインパクト産駒が豪州で誕生することとなる。

ブレイブスマッシュが今週の土曜日に再び登場

 21日(土)にランドウィック競馬場で行われるG1オールエイジドS(1400m)に日本から移籍したブレイブスマッシュが出走する。このレースは、2014年にハナズゴールが優勝したレースとして、日本の皆様にも馴染みのあるレースだと思う。7日の前走、G1TJスミスS(1200m)でトラピーゼアーティストの7着に終わったブレイブスマッシュだったが、ここで巻き返しを図り、秋のシーズンを締めくくることができるかが注目される。

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▲前走7着に終わったブレイブスマッシュ、巻き返しを図りシーズンを締めくくれるか

 2月24日にコーフィールド競馬場で行われたG1フューチュリティS(1着賞金30万豪ドル)で、得意とする1400mを舞台に豪州G1初制覇を果たしたブレイブスマッシュは、続くG1ニューマーケットH(1200m)で2着となり、賞金22万5千豪ドルを獲得したことで、秋の競馬シーズンにおける獲得賞金は60万豪ドルとなった。

 また、日本からクリス・ウォーラー厩舎に移籍した2015年日本ダービー2着のサトノラーゼン(父ディープインパクト)も、オールエイジドSで現地デビュー戦を迎える。

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Racing Victoria

1864年に創設された、オーストラリアのビクトリア州における競馬主催団体。メルボルンCなどの大競走が行われるフレミントン競馬場をはじめとした、ビクトリア州各地の競馬場で開催される競馬の運営・統括をしている。近年では日本調教馬の移籍も多数実現しており、日豪の関係に重要な役割を担っている。

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