JRA京都開催のJBCへ向かう地方馬

2018年10月02日(火) 18:00


◆それなりの実績馬が出走するようで、ちょっとホッとしている

 初めてJRA(京都)での開催となるJBC競走が、約1カ月後に迫った。地方馬の出走可能頭数は、正式には発表されていないようだが、本サイトのNAR塚田理事長インタビューにもあるように、各レース7頭となるようだ。

 その塚田理事長のインタビューにもあったように、地方馬にとって今回は完全アウェーとなるため、果たして出走する馬はいるのかどうか、ということが懸案だった。しかしどうやら、クラシック、スプリントについては、それなりの実績馬・実力馬が出走するようで、ちょっとホッとしている。

 まずは陣営がはっきりと出走を表明しているのが、浦和・小久保智厩舎から、JBCクラシックのシュテルングランツと、JBCスプリントのノブワイルド。

 シュテルングランツは、中央オープンから移籍して3戦目、JBCクラシックの指定競走となっている東京記念(大井)を制した。“指定競走”には優先出走権はないが、「出走馬選定にあたってその成績が重視される」というもの。よほどの実績馬が多数地方から出走希望をするでもない限り、出走できる可能性はかなり高いと思われる。地方競馬通算最多勝記録を更新し、先月62歳になった的場文男騎手がJBCでもシュテルングランツの手綱をとることになれば、それだけで盛り上がりそうだ。

JBCクラシックに出走予定のシュテルングランツ(撮影:高橋正和)

 ノブワイルドは、JpnIIIのテレ玉杯オーバルスプリント(浦和)を勝った。JBCスプリントへの優先出走権はないものの、地方馬が直近でダートグレードを勝っているとあれば、選定されるのは確実だろう。馬主はTUBEのボーカル、前田亘輝さん。オーバルスプリントの回顧でも触れたが、前田さんはこれまで中央でも何頭か所有されているものの1000万クラスまで。中央・地方通じて初めての重賞勝利がグレードタイトルとなった。近年、キタサンブラックの活躍では北島三郎さんが競馬全体を盛り上げたが、前田亘輝さんが中央の重賞の表彰台に立つなどがあれば、これも盛り上がりが期待できそうだ。

JBCスプリントに出走予定のノブワイルド(撮影:高橋正和)

 そしてもう1頭、JBCクラシック出走を表明しているのが、兵庫・新子雅司厩舎のタガノゴールド。この馬もJBC指定競走の姫山菊花賞(園田)を勝っている。

JBC指定競走の姫山菊花賞を勝っているタガノゴールド(撮影:稲葉訓也)

 新子厩舎からは、Road to JBCの東京盃(大井)に出走を予定しているエイシンバランサー、エイシンヴァラーの2頭も前向きで、少なくともどちらかはJBCスプリントに出走させたい意向だ。東京盃では1着馬にJBCスプリントへの優先出走権が与えられるが、前者はJpnIIIのサマーチャンピオン(佐賀)を、後者もJpnIIIの黒船賞(高知)をともに今年勝っているだけに、東京盃で結果を残せなくても希望すれば出走は可能となるだろう。この原稿を書いている時点で結果はまだ出ていないものの、白山大賞典(金沢)でタガノヴェリテが好走すれば、新子厩舎からは最大4頭、JBCへ出走という可能性もある。

 今年ここまでにダートグレードを勝った地方馬は、ここに挙げたノブワイルド、エイシンバランサー、エイシンヴァラーの3頭。GII・JpnII以上の勝ち馬がいないのはちょっと寂しいが、今や地方競馬を代表するといっていい、小久保智調教師、新子雅司調教師の近年の活躍は“あっぱれ”と言えるもの。

 そのほか、船橋・佐藤賢二厩舎から、Road to JBCの日本テレビ盃(船橋)に出走するヒガシウィルウィン、東京盃に出走予定のキタサンミカヅキがJBC出走に意欲を示している。

 牝馬のJBCレディスクラシックには出走に前向きな声がなかなか聞こえてこないが、Road to JBCのレディスプレリュード(大井)に出走予定となっている高知のディアマルコ(那俄性哲也厩舎)は、グランダム・ジャパン古馬シーズンのタイトルもほぼ確実なところまで来ていて、JBC挑戦も視野にあるようだ。

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斎藤修

1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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