2008年08月02日(土) 20:50
夏真っ盛りの8月。暑さに負けないよう、競馬も仕事も頑張りましょう!
私が毎週通っている新潟競馬場は、この季節、晴れた日には日差しはもちろん芝からの照り返しもきつくて、ジリジリするような暑さに見舞われます。前の晩に新潟の旨い酒を飲み過ぎた時は、そりゃぁ応えますよ。でも、「わかっちゃいるけどやめられねぇ」のが新潟での飲み会。旨い酒ばかりじゃなく、ついつい杯を重ねてしまいたくなる肴が連れ立って待ちかまえてますからね。ほどほど、なんてそう簡単にはできません。当然ながら土曜日は、その名残と猛暑のダブルパンチに悪戦苦闘。毎週、試練に耐えながら番組を放送している次第であります。
試練、と言えば、新潟競馬場も実況アナウンサーにとってはまさに試練の舞台。直線1000m戦や外回りコースのレースなど、アナウンサー泣かせの“難関”がいくつも待ち受けているからです。
まず直線1000m戦。実況席からスタート地点を双眼鏡でのぞくと、各馬をほぼ正面から見ることになります。そうすると、われわれがどの馬かを判別する際に頼りにしている勝負服の色と柄は、馬の首に隠れてよくわかりません。さらに、内の馬と外の馬のどちらが前に出ているのか、それを見極めるのもタイヘンです。そこで私は、スタートしてからしばらくの間は、平行して走る車載カメラの映像(要するにテレビの画面。各馬を横から映し出してくれます)を見ながら実況しています。
でも、そこにもう1つの問題が。テレビ東京の実況席にあるモニターは私の右側に置かれています。ところが、馬は左側からゴールに向かってきます。つまり、レースの途中で自分の身体の向きを瞬時に反転させなきゃいけないわけです。その間に実況が途切れてもいけません。これをスムーズにこなすためには、何度かレースをしゃべって慣れることが必要ですが、毎年ソコソコ慣れたかな、と思った頃には夏競馬が終わっちゃうんですよ。なので、直線1000m戦の実況は毎年ドキドキの連続です。
次に、外回りコースのレース。こちらは、向こう正面の中ほどから3コーナーまでの長い直線が厄介。各馬を斜め後ろから見ることになるので、今度は騎手の下半身ばかりが目立ってしまいます。ヘンな意味じゃありませんよ。白い乗馬パンツだけがよく見えて、外側に並んでいる騎手の勝負服がその陰に隠れてしまう、ということ。そこでやっぱりモニターの映像を見ながらの実況になります。ここでも、私の場合、右を見たり左を見たり、結構忙しく首を動かさなきゃならないわけです。
馬場が広く(とくに芝コース)、実力的にも差のないメンバーが揃うことが多いためか、内外に各馬が広くバラけて、ゴール前で大接戦になるレースもよくあります。内の馬に気を取られて外から猛然と追い込んでくる馬への対応が遅れたり、外から差してきそうな馬を探すほうに目が行って、内で粘っている馬を言い忘れたり、われわれにとっての“落とし穴”がいくつも散らばっている新潟競馬。とにかく手強い競馬場なんですから、前の晩の飲み会はほどほどにしなきゃいけないんですけどね…。
さてさて、先週の函館記念は狙いすぎちゃいました。でも、めげません。今週の小倉記念もちょっとヒネってグロリアスウィークを狙ってみます。あのエリザベスクィーンだって勝てたんですから、私もいつかはデッカイ馬券を取れるハズです!
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。