2008年08月26日(火) 23:49
5日間にわたって開催されていた「サマーセール」が終了した。上場馬は5日間を通して1124頭。名簿上は1273頭だったので149頭が欠場したことになる。約88.3%の上場率である。そして、落札は354頭。売却率31.5%。上場頭数は前年より1頭減、落札頭数も14頭の減少で、売却率も1.2ポイントほど下回った。
売り上げ総額は前年よりも9355万円ほど減少し、15億9967万5000円。1頭平均では前年比8万2312円減少し、451万8856円。
牡牝別に見ると、牡は601頭が上場され、228頭が落札。売却率37.8%だが、牝は523頭中126頭の落札に終わり、売却率は24.1%。牡牝の差は13.7ポイントである。
この結果について、HBA日高軽種馬農協の荒木正博組合長は「前回のセレクションセールを65点としたが、今回は75点」と及第点をつけたことが地元紙に報じられている。春以来、前年実績を割り込む市場が続いていたため、今回のサマーセールでもかなり数字を落としてしまうのではないかとの懸念が広がっていたが、終わってみるとほぼ前年並みの成績に落ち着いたことを荒木組合長は評価しているようだ。
主催者であるHBA日高軽種馬農協としては、前年より約4億8千万円もの売り上げ減となった7月のセレクションセールと比較すると、予想していたほどの落ち込みにはならなかったとの安堵感があるようだがそもそもが10頭に3頭程度の落札では、依然として厳しいことに変わりはない。
ただサマーセールそのものは、もう長らく売却率が3割前後で推移しており、今後もよほどのことがない限り、平均価格ともども急上昇することはなさそうな気配だ。ならば、この限られた条件の下で、いかに「売れる馬」を生産し上場させて行くかを考える以外に方法がないのかも知れない。
以下に、サマーセールにおける主要な(上場頭数の多かった)種牡馬別成績を列記してみる。(平均価格は税抜き)
アグネスデジタル、8頭上場、3頭落札、1頭平均393万3千円 アグネスフライト、11頭上場、4頭落札、507万5千円 アジュディケーティング、18頭上場、3頭落札、326万6666円 アドマイヤコジーン、11頭上場、3頭落札、平均206万円 アドマイヤドン、15頭上場、2頭落札、225万円 アドマイヤボス、22頭上場、3頭落札、240万円 アフリート、12頭上場、5頭落札、332万円 アルカセット、24頭上場、5頭落札、498万円 イーグルカフェ、11頭上場、4頭落札、175万円 オペラハウス、25頭上場、7頭落札、322万円 カリズマティック、10頭上場、4頭落札、415万円 キングカメハメハ、11頭上場、6頭落札、781万6666円 キングヘイロー、27頭上場、9頭落札、355万5555円 グラスワンダー、29頭上場、6頭落札、426万6666円 グランデラ、12頭上場、2頭落札、225万円 *クロフネ、4頭上場、3頭落札、673万3333円 ゴールドアリュール、11頭上場、5頭落札、270万円 コマンダーインチーフ、20頭上場、5頭落札、390万円 サウスヴィグラス、11頭上場、4頭落札、427万5千円 サクラバクシンオー、15頭上場、8頭落札、578万7500円 ザッツザプレンティ、11頭上場、3頭落札、840万円 シックスセンス、10頭上場、2頭落札、325万円 *ジャングルポケット、7頭上場、3頭落札、633万3333円 *シンボリクリスエス、5頭上場、1頭落札、1400万円 スウェプトオーヴァーボード、21頭上場、7頭落札、285万7142円 スキャン、18頭上場、6頭落札、320万円 ステイゴールド、12頭上場、8頭落札、496万2500円 ストラヴィンスキー、21頭上場、6頭落札、375万円 スパイキュール、11頭上場、4頭落札、352万5千円 ゼンノロブロイ、19頭上場、6頭落札、481万6666円 タイキシャトル、10頭上場、5頭落札、902万円 タップダンスシチー、28頭上場、7頭落札、297万1428円 ダンスインザダーク、12頭上場、5頭落札、690万円 チーフベアハート、10頭上場、4頭落札、310万円 ティンバーカントリー、15頭上場、3頭落札、476万6666円 トウカイテイオー、9頭上場、4頭落札、312万5千円 トワイニング、10頭上場、2頭落札、445万円 ニューイングランド、14頭上場、4頭落札、320万円 ネオユニヴァース、11頭上場、4頭落札、515万円 バゴ、14頭上場、7頭落札、724万2857円 バブルガムフェロー、10頭上場、6頭落札、386万6666円 フサイチコンコルド、25頭上場、10頭落札、315万円 *フジキセキ、5頭上場、2頭落札、825万円 ブラックタキシード、17頭上場、5頭落札、288万円 プリサイスエンド、23頭上場、11頭落札、590万円 ヘクタープロテクター、10頭上場、4頭落札、267万5千円 ボストンハーバー、11頭上場、6頭落札、491万6666円 ホワイトマズル、13頭上場、4頭落札、305万円 マーベラスサンデー、29頭上場、8頭落札、493万7500円 マイネルセレクト、13頭上場、8頭落札、310万円 マイネルラヴ、17頭上場、5頭落札、552万円 マヤノトップガン、18頭上場、9頭落札、461万1111円 マリエンバード、12頭上場、6頭落札、336万6666円 マンハッタンカフェ、18頭上場、13頭落札、563万8461円 ムーンバラッド、11頭上場、1頭落札、100万円 リンドシェーバー、12頭上場、2頭落札、455万円
急いで計算したので間違いがあるかも知れないが、ざっとこんなところだろう。原則として上場10頭以上の種牡馬を挙げてみたが、一部*印の社台系種牡馬は頭数が少なくとも一応参考として列記した。
ザッツザプレンティはサマーセール5日間を通しての最高価格馬を出した(フローラルマジック2007、牝、税抜き2020万円)ため、平均価格を大きく押し上げた。
個別の種牡馬についてのコメントは控えるが、現在の人気度が売却率や価格にある程度反映しているのは間違いない。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。