2008年09月27日(土) 23:50
同馬は、ひとまず27日のグレートリーズのレースを回避。ロンシャン競馬場が良馬場なら10月5日の凱旋門賞に出走、そうでなければ同3日のダンダーク競馬場のレースに向かう見込みです。走り慣れた芝の凱旋門賞を狙うか、一歩先をにらんでオールウェザートラックの一般(特別)戦に駒を進めるか。フツウだったらどう考えたって凱旋門賞でしょう。伝統あるビッグレースですし、同馬にはGI・6連勝もかかっているんですから。もしも同馬がダンダークのレースに出たら、歴史が変わると言っていいかもしれません。
それはさておき、このところ、オールウェザートラックのレースは競馬界の“脇役”から“主役”にのし上がって来た感があります。今週の2つのニュースもその証し。アメリカでは、ダートからオールウェザーへの馬場改修が相次いで行われていますし、ヨーロッパやオセアニアでも、オールウェザートラックが次々に新設されています。イギリスでは2005年からオールウェザートラックでの重賞競走も実施されるようになりました。ドバイワールドカップの成功も、世界的なオールウェザートラックレース隆盛への動きを加速させたはずです。
つまり、芝とダートに加えて、オールウェザートラック(人工素材を敷設した天候不問の馬場)も競馬の主要な舞台になってきた、ということ。これって、テニスみたいですね。ご存知のように、テニスにはグラス(芝)、クレー(土)、ハード(主に合成樹脂)の3つの主なサーフェスがあって、4大大会=グランドスラムも、グラスの全英=ウインブルドン、クレーの全仏、ハードの全豪、全米と、それぞれのサーフェスを使い分けて開催されています。競馬もそんなふうになってきたわけです。
ただし、ヨーロッパではダートではなくオールウェザーを導入している、ダートの本場だったアメリカでオールウェザーへの転換が進んでいる、オールウェザーはダートよりも馬の脚に優しい、といった現実を見れば、競馬の場合は芝とオールウェザーがこれからの“2大サーフェス”になる、と考えていいでしょう。
さぁ、そうなったときに、ダートコースは“もう1つのサーフェス”として生き残っていけるのでしょうか? これはもちろん、日本のダートコースにも言えることです。砂を敷き詰めた日本のダートコースは、アメリカのそれとは異質のもの。日本ならではの“サーフェス”です。世界的には珍しい馬場でこのままレースを続けるのか。それとも、芝と並んで世界の主流になりつつあるオールウェザートラックを導入するのか。近い将来、その選択を迫られる時がやって来そうです。
さて、今週。オールカマーには去年の有馬記念馬マツリダゴッホ、神戸新聞杯には今年のダービー馬ディープスカイが登場します。馬券は、この“主役”と“もう1頭”をそれぞれペアにして、3連複2頭軸流しでいきましょう。その“もう1頭”、オールカマーはマイネルキッツ、神戸新聞杯はスマイルジャックにしました。とにかく、早く当たってほしいものです! では、また来週。
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。