北海道2歳優駿〜門別競馬場

2008年11月04日(火) 23:49

 去る10月30日(木)、門別競馬場で「第35回北海道2歳優駿」(交流GIII)が行われた。1着賞金2000万円。距離1800m。

 先月下旬より、道営ホッカイドウ競馬の開催は、ここ門別競馬場に舞台を移しており、今後11月20日(道営記念)まで残すところ3週となっている。この日の門別競馬場は日中ほぼ晴れていたものの、さすがにこの時期の北海道は気温が上がらず、戸外での競馬観戦にはいささか辛い。最高気温は約10度といったところ。じっと立っていると肌寒さが衣服の隙間から忍び寄ってくる。カメラを持ったままでは手袋が欲しくなるくらいに感じる。

 ただし、人は多かった。狭いスタンドに入り切れないファンが外に溢れ出し、隙間なく立っているような印象である。中央から武豊騎手、福永祐一騎手、田中勝春騎手などが参戦していること、地元の人気馬「ハートマーク」のマサノウイズキッドも出走することなどから、この門別競馬場始まって以来という人出で大賑わいとなった。(最終的には入場人員1241人=本場という記録が残っている)

門別競馬場スタンド

 因みに、前日、前々日と比較してみると、10月28日(火)は、入場人員354人、売り上げは8964万円、29日(水)は、289人、9611万円という数字である。

 もともとこの門別競馬場は、道営ホッカイドウ競馬の専用トレセンとして発足した施設であり、競馬場化されたのは1997年暮れのこと。以来11年が経過するが、背後に迫るトレセンの厩舎地区と馬場との間の限られたスペースに無理矢理スタンドを設置したため、かなり窮屈な建物になってしまった。当初よりここは周辺人口が少ないことから、それほど多くの入場人員を想定しておらず、スタンド内部も全国の地方競馬場の中ではダントツの狭さである。公式には入場人員500人と言われており、今回のように1000人以上の入場者が入ってしまうともう収容能力を遥かに超えてしまうのだ。

パドック1

 さて「北海道2歳優駿」。西側に傾いた太陽が、この季節特有の鉛色の雲間に隠れ、レース直前にはずいぶん空が暗くなってしまった。出走を予定していた14頭のうち、8番ウルトラシーと10番スマートスパイダーが出走を取り消し、12頭がパドックを巡回する。単勝1番人気は11番ワンダフルクエスト。目下5連勝中の道営所属馬である。2番人気も同じく道営所属のモエレエキスパート。札幌2歳Sの3着馬で、クローバー賞を制している。

パドック2

 マサノウイズキッドは、前走5着に敗退したこともあってかここでは5番人気。しかし、まだ底を見せていないワンダフルクエストが1.8倍の他は、2番人気から5番人気が5倍〜6倍台とほぼ横一列に並ぶ割れ方になっている。パドックでの注目度は、やはり断然マサノウイズキッドが中心であった。撮影ポイントにこの馬が近づくと一斉にシャッターが切られる光景は、ついこの前の札幌競馬場(10月5日)を彷彿とさせる。ダートに戻り、ここは巻き返しを期待したいところ(私事だが馬券はこの馬から流した)。

マサノウイズキッド

 地元の富川中学校ブラスバンド部によるファンファーレが鳴り響き、いよいよゲート入りが始まった。4コーナー奥からの発走である。

 6番スーパーマークンがやや出遅れた他は、ほぼ一斉のスタート。レースはモエレ軍団のモエレビクトリーが引っ張る展開で、それを中央遠征馬のメトロノースが追う。以下、サンサンヒカリ、メイショウコウセイ、マサノウイズキッド、ワンダフルクエストなどが続き、4コーナーを回ったところでは武豊騎手騎乗のメトロノースが早々と先頭に立った。

 直線に入ると、もうメトロノースの独走態勢で、見る見る間に他馬を引き離し、5馬身差をつけて1着でゴールイン。追い上げたモエレエキスパートが2着、人気のワンダフルクエストもクビ差の3着に敗退した。マサノウイズキッドは直線で置かれてしまい、勝ち馬から2.3秒ほど離されての6着に終わった。

メトロノース

 勝ったメトロノースは(有)キャロットファームが馬主で、早来・ノーザンファーム生産。栗東・安田隆行厩舎所属。父アドマイヤコジーン、母マンハッタンという血統。このレースでは6番人気だったが、武豊騎手の好騎乗により勝利をもぎ取った。

口取り

 レース後、2番フリソが田中勝春騎手を振り落とし、空馬のまま1コーナー方向からスタンド横に戻ってきて、コースへの出入り口で埒にぶつかる場面を目撃した。ただし、ダメージはなさそうで、ほどなく厩務員に取り押さえられ、引き揚げて行った。普通にゴールし、向こう正面まで流して行った直後の落馬。いったい何があったものか。

フリソ放馬

 この日の売り上げは1億9201万円。「北海道2歳優駿」1レースの売り上げは8585万円。うち場外での売り上げ分は5237万円である。

 来春より道営ホッカイドウ競馬はここ門別競馬場で大半の開催を行なうことがすでに決定しており、今後、既存のスタンドの横にもう一つ簡易式(屋根がテントという)スタンドを建設することになっている。パドックは現在の位置から既存スタンドと新設スタンドとの間に新たに設けられる。また、コースに照明設備が設置され、ナイター競馬をここで実施する予定だ。

 場内を歩いてみた限りではまだ工事は行なわれておらず、何も変化は見られない。いずれまた「新生門別競馬場」の姿をお伝えするつもりだが、さて、これから冬期間に向かう時期。工事が間に合うのかやや不安にもなってくる。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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