2008年12月23日(火) 13:00
生産関連のニュースを発信しているタブロイド版業界紙「馬事通信」(道新スポーツ発行)に、恒例の「生産地10大ニュース」が掲載されている。
(1)せり市場で海外資本大躍進 (2)57年ぶりに内国産馬チャンピオンに輝く (3)白毛馬が史上初の重賞制覇 (4)道営競馬、馬産地主体の新体制へ移行 (5)前HBA組合長の前川敏秋さん叙勲 (6)大井競馬で海外競馬経験馬が出走 (7)ウオッカが初の快挙、混合GIレース3勝 (8)史上初、内国産父仔、海外GI競走制覇達成 (9)キングカメハメハ、SS以来の記録 (10)最強馬ディープインパクト初年度産駒大フィーバー
少しばかり「補足説明」を加えておく。(1)は、ダーレーグループやシンガポールのDr・C・K・Tan氏などが、セレクトセール及びセレクションセールなどで高額馬を落札したことを指す。(2)はSS後継馬としてアグネスタキオンが今年度のリーディングサイアーとなったニュース。(3)は周知の通り、関東オークス制覇で湧いたユキチャンの話題。(4)(5)(6)(7)については省略する。(8)は先頃、シンガポールでG1制覇を果たしたエルドラド(父ステイゴールド)のニュースである。(9)は、今年初年度産駒がデビューしたキングカメハメハが2歳チャンピオンサイアー&ファストクロップサイアーとなることが確実視されていることを指す。(10)は元旦早々、第一仔誕生をスクープするためにマスコミが大々的に取材合戦を展開したのに始まり、セレクトセールでは当歳馬の最高価格馬を筆頭にディープの初仔が続々と高額取引されたことについて触れている。
こうしてみると、やはり今年も社台関連のニュースが多く、サンデーサイレンス亡き後も、社台の牙城はゆるぎない印象である。そんな中で、先週の朝日杯FSはセイウンワンダーが最内から抜け出し、接戦を制した。父グラスワンダーは秋になって大化けしたと言っても過言ではないほどの大活躍で、来春は配合頭数が激増することだろう。セイウンワンダーは新ひだか町三石の筒井征文牧場の生産。新潟2歳Sを勝った翌週にこの欄で取り上げさせていただいたことがある。和牛との兼業でサラブレッド生産を続ける筒井さんは、ある意味、日高の典型的な小規模生産者であり、今年に限っては、個人名の生産牧場から生まれたGI馬としてはセイウンワンダーが唯一の例になりそうな気配だ。
異論はあるだろうが、私個人としては、様々な血統背景を持つ馬たちが、それぞれに活躍してこそ競馬は盛り上がるものと信じている。社台グループの一人勝ちにほぼ終わりそうな2008年だが、来年は、思いがけないところから予想外のヒーローが出現することを期待したいと思う。その意味でも、セイウンワンダーの今後の活躍には注目したい。
苦戦し続ける各地の地方競馬の動向や、不況に喘ぐ馬産地・日高の現状など、暗いニュースにはこと欠かない1年だったが、来年は暗闇の中でも一筋の光明が見えてくる年になることを祈らずにはいられない。
今年を締めくくる原稿の最後に、サンタクロースの画像を一枚、添付しておく。去る12月19日、浦河ポニー少年団に十勝の鹿追町から友好使節団が訪問した。鹿追ライディングパークを拠点に活動を続ける乗馬少年団のご一行がバスを仕立てて親善訪問にやってきたのである。
簡単な競技会などを行い、表彰式を済ませた直後、会場の町乗馬公園覆馬場に現れたのがイルミネーションを光らせた馬車に乗った2人のサンタクロース。プレゼントの入った大袋を背負い、テーマソング(慌てん坊のサンタクロース)までラジカセから流しながら、真っ暗闇から登場した。子供たちの目が釘付けになったのはもちろんで、この卓抜な“演出”に、みんな大喜びであった。
生産や育成などの日常業務には無関係でも、こうした遊び心は持ち続けたいものである。
ともあれ、メリークリスマス。皆様、良いお年をお迎え下さい。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。