2002年のサラブレッド・オークション

2002年01月16日(水) 00:00

 2002年のサラブレッド・オークションの幕開けを飾るキーンランド・ジャニュアリー・セールが、1月7日から10日までケンタッキーで開催された。年が明けて1歳(イヤリング)になったばかりの子馬もカタログに含まれているが、上場馬の主力はあくまでも繁殖牝馬のこのセール。最高価格で購買されたのは、クリスエスを受胎して上場された95年のブリーダーズCスプリント優勝馬デザートストーマーで、フロリダにベースを置くライヴオークスタッドが360万ドルで入手している。そんな中、全体的な傾向とはいささか異なる購買を行ったのが、日本人だった。今年、日本人によると見られる購買馬は10頭いたが、このうち半数を越える6頭がイヤリングだったのだ。日本の景気が良かった90年代には、例えば91年のように日本人トータルで38頭も購買した年もあったが、この時もイヤリングの購買数は2頭。ジャニュアリーにおけるイヤリングの購買数としては、今年が歴代で最多となった。

 理由の1つは、言うまでもなく経済的状況であろう。キーンランド・ジュライ、ファシグティプトン・サラトガ、タタソールズ・ホウトンといった、夏から秋にかけて行われるメインのイヤリングセールでは欲しい馬が手に入らないのが、ここ2〜3年の傾向である。現在の購買力を考えると、この辺りで仕入れておくのが得策と考えた日本人購買者が、少なからずいたということだろう。更に、こうした亜流の市場で購買された馬が、そこそこの結果を残しているのも、見逃せないファクターだろう。今年の3歳世代で、1月7日までに勝ち上がった外国産馬は65頭いるが、ここに、1999年のキーンランド・ノヴェンバーで当歳時に購入された馬が5頭も含まれているのである。このうち、サードニックスとイチロースワンは既に2勝。サードニックスなどは当時16,000ドルという超廉価で購買された馬だから、関係者としては笑いが止まらないはずである。6頭を数えた今年のジャニュアリーセールにおける日本人購買のイヤリングも、価格は全て10万ドル以下だ。それでも、母の兄にブライアンタイムがいる父ウッドマンの牡馬や、フレンチデピューティの牝馬、シルヴァーチャームの初子となる牝馬らが購買されているのだ。

 POGファンとしては、決して無視できないセールだったと言えよう。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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