欧州3歳牝馬戦線展望

2009年02月03日(火) 23:59

 先週は、カイトウッドのゴドルフィンへのトレードに絡めて英国ダービーを目指す有力馬を御紹介したこのコラム。牡馬戦線の解説のみにとどまっては手落ちになるので、今週は1000ギニーやオークスのアンティポスト戦線で有力視されている3歳牝馬のトップホースたちを御紹介したい。

 各社ブックメーカーが、1000ギニーのみならずオークスでもこぞって抜けた1番人気に支持し、2006年生まれの牝馬では1頭突出した存在になっているのが、ジョン・ゴスデン厩舎のレインボウビューだ。

 2歳時の成績、4戦4勝。6月にニューマーケットの距離7fのメイドンでデビュー勝ちすると、続いて同じニューマーケットで行われた7fのG3スウィートソレラSを6馬身差で圧勝。ドンカスターの8fのG2メイヒルSも無傷で通過すると、単勝1.57倍という圧倒的1番人気に推されたアスコットの8fのG1フィリーズマイルも危なげなく快勝。無敗のまま2歳シーズンを終えた。

 父は、ケンタッキーのスリーチムニーズファームで供用されているダイナフォーマー(その父ロベルト)。地元アメリカでケンタッキーダービー馬バーバロらを出している一方で、欧州でもセントレジャー勝ち馬ルカーノらを出し、万能型タイプとして確固たる地位を築いている種牡馬である。ダイナフォーマーの父はロベルトで、なおかつ、レインボウビューの母の父はヌレイエフだから、自身がアメリカ産馬で配合表にも(USA)の3文字がずらりと並んでいるものの、実はヨーロッパ色の極めて強い血統と言ってよいのが本馬である。

 現時点でブックメーカー各社が1000ギニーでこの馬に与えているオッズが、2.75倍から3.5倍。2番人気馬はどの社のオッズでも7倍は付けているから、ダブルスコアの独走状態と言って過言ではない。更に血統背景から距離延長も問題なしと見るファンが多く、オークスの前売りでも6倍から8倍のオッズを与えられて、2番人気を大きく引き離す1番人気に推されている。

 1000ギニーの前売りで、各社が7倍から8倍のオッズを掲げて2番人気に推しているのが、カリッド・アブドゥーラ殿下のオーナーブリーディングホース、プロポーショナル(父ビートホロウ)だ。クリケット・ヘッド・マーレックが管理するフランス調教馬で、2歳9月にデビュー2戦目となるラマールオーズワゾー賞で初勝利。続いてロンシャンで行われたフランスにおける2歳牝馬チャンピオン決定戦マルセルブサック賞に挑み、ここも快勝してG1勝ちを果たした馬である。

 オークスの前売りで、各社11倍から13倍のオッズを掲げて2番人気に推しているのが、昨年9月にアスコットでおこなわれたG1フィリーズマイルで、レインボウビューに2.1/2馬身遅れをとる2着だったファンタジアである。日本でもおなじみのルーカ・クマーニ師の管理馬で、2歳7月にニューマーケットの6fのメイドンでデビュー勝ち。続いてグッドウッドの7fのG3プレスティージSも連勝して重賞制覇を果たした後、3戦目がフィリーズマイルであった。

 父がサドラーズウェルズで母の父がダルシャーンという配合は、ヨーロッパのクラシックディスタンスにぴったり。だがその一方で、祖母ブルーダスターはチーヴァリーパークS勝ち馬で、祖母の兄ザイーテンはミドルパークS勝ち馬と、牝系は早熟の短距離型だ。母方の血が色濃く出るようだと、予想外の伸び悩みもありそうである。

 いずれにしても、レインボウビューの動向に大きな注目が集まる3歳牝馬戦線となるのは、間違いなさそうである。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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