フランスの3歳クラシック前哨戦で波乱

2009年04月14日(火) 23:59

 イギリスよりひと足早くフランスで3歳クラシックへ向けた前哨戦が行われたが、有力馬の敗退が相次ぐ波乱模様となっている。

 まず、4月10日にメゾンラフィットで行われた、3歳牡馬とセン馬のための距離1400mの準重賞ジェベル賞に、昨年のフランス2歳牡馬チャンピオン・ナークース(父オアシスドリーム)が登場。単勝2倍を切る圧倒的1番人気に支持されたが、2着に敗れる不覚をとった。

 ナークースは、昨年10月5日に凱旋門賞のアンダーカードとして行われた、フランスにおける2歳王者決定戦G1ジャンルクラガルデル賞の勝ち馬。この春はイギリスの2000ギニーを目標に調整され、各社ブックメーカーの前売りオッズでも、アイルランドのエイダン・オブライエン厩舎所属のG1ナショナルS勝ち馬マスタークラフツマン、同じオブライエン厩舎で師が素質を同等に評価するG3タイロスS勝ち馬リップヴァンウィンクル、G1レイシングポストトロフィー勝ち馬クラウデッドハウスらとともに、「4強」を形成する存在となっていた。

 ところが、スタートから主導権を握り、ゴール前で満を持して追い出されたナークースは意外に伸びず、道中2番手にいたルアーブル(父ノヴェーア)に馬体を並べられると、堪え切れずにあっさりと交わされて敗退。ルアーブルは、2歳時に出走した唯一の重賞G1クリテリウムインターナショナルで大敗していた馬で、明らかに格下と思われる相手に敗れた陣営は意気消沈。管理するフレディー・ヘッド調教師はレース後、「イギリス遠征はほぼ白紙」とコメントした。

 続いて、4月12日にロンシャンで行われた、3歳牝馬による距離1600mのG3ラグロット賞。ここに登場した昨年のフランス2歳牝馬チャンピオンのプロポーショナル(父ビートホロウ)もまた、単勝2倍を切る圧倒的1番人気を裏切り、3着に敗退することになった。

 プロポーショナルもまた、昨年10月5日にロンシャンで行われたフランスにおける2歳牝馬女王決定戦G1マルセルブサック賞の勝ち馬で、この春はイギリス1000ギニー制覇を視野に入れていた馬。各社ブックメーカーも、イギリスにおける無敗の2歳牝馬女王レインボウビューに次ぐ2番人気に支持するなど、高い評価を得ていた馬だった。

 道中スローから、ゴール前の瞬発力勝負となったラグロット賞。切れ味が特長のはずのプロポーショナルは思ったように弾けず、ここが重賞初挑戦だったタマジルテ(父デインヒルダンサー)の3着に敗退。こちらもレース後、管理するクリケット・ヘッド・マーレク師から、イギリス遠征を断念して自国の1000ギニーに矛先を向けるとの談話が出された。

 今週はイギリスで前哨戦が行われているギニー戦線だが、ぶっつけで本番に駒を進める有力馬も多く、直前まで目の離せない情勢と言えそうだ。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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