第5回浦河ジュニアジョッキー杯

2009年08月05日(水) 00:10 0

 2005年より始まった浦河ポニー乗馬少年団による道営ホッカイドウ競馬遠征は今年で5回目を迎えた。

少年団到着 馬運車からポニーをおろす

 旭川を皮切りに、札幌、門別、札幌と続き、今年はついに門別ナイター開催での出走が実現した。今やすっかり道営の“名物”ともなったポニー競馬。子供たちにとっても、カクテル光線に照らし出されたコースを走るのは初めての経験だが、昼間の開催とはまた一味違う雰囲気の下、10人の「ジュニアジョッキー」たちは直線300mのこのレースで騎乗馬を巧みに乗りこなし、場内のファンを大いに喜ばせた。

出走馬待機場所風景1 出走馬待機場所風景2

 5日(水)、午後7時10分。第8R「リゲル特別(JRA交流競走)」の終了後、大型ビジョンに出走各馬が映し出された。今年の出走馬は10頭。下は小学校3年生、上は中学校2年生である。男女比はちょうど半々。門別コースは初めての子もいるが、レースに関しては全員経験者で、先週この欄で触れた「浦河競馬祭」の際に全馬が出走しており、人馬のコンビはそのままで門別へやってきた。

出走馬待機場所風景3

 参考までに出走馬を紹介しておこう。

1.クリボン(せん5歳)音更産、馬体重200kg、中神美渚騎手(小4)25kg、ハンデ-50m

2.サンジ(せん10歳)函館産、馬体重275kg、川島はるか騎手(小6)35kg

3.珀「ハク」(せん9歳)富良野産、馬体重280kg、田中文乃騎手(小6)34kg

4.マーブル(牡5歳)浦河産、馬体重260kg、中脇剛騎手(中2)50kg、ハンデ-50m

5.トットコハムタロウ(せん12歳)浦河産、馬体重250kg、木村拓己騎手(小6) 34kg、

6.メルモチャン(牝10歳)大樹産、馬体重280kg、広瀬楓騎手(小6)42kg

7.フランキー(せん4歳)中標津産、馬体重270kg、木村和士騎手(小4)35kg

8.チャオ(牝9歳)広尾産、馬体重290kg、谷口遼斗騎手(小4)26kg

9.プリティ(牝14歳)厚岸産、馬体重320kg、近藤直人騎手(中1)59kg、ハンデ+20m

10.ハーチャン(牝12歳)音更産、馬体重220kg、根本ひなた騎手(小5)33kg、ハンデ-50m

 スターターは中神志帆さん(小5)。1番クリボンに騎乗する中神美渚騎手の姉である。

騎乗者とスターター

 また、馬格に応じて、ハンデは斤量ではなく、距離で課せられる。スターティングゲートからの発走ではないので、予め-50mの場合には、手前から、+20mの場合には奥からのスタートである。

 北海道学生愛馬会の制作した「出馬表」が来場者に配布され、それには浦河ポニー乗馬少年団の保護者5人が印をつけた「予想」も掲載されていた。一番人気は3番「珀(ハク)」続いてトットコハムタロウ、メルモあたりが続いた。

 すでに出走各馬はスタート位置に集合している。本物のレースの合間を縫ってのアトラクションなので、分刻みどころか秒刻みのスケジュールだ。各馬にはそれぞれ少年団OBや保護者などが付き添い、手綱を持って構えている。ハンデのある馬は指定された距離のところまで行き、合図を待つ。スターターの中神志帆さんが、本物と同じスターター台に乗り、いよいよ「第5回浦河ジュニアジョッキー杯」の時刻となった。

 スタートのタイミングはなかなか難しく、全馬がゴール方向を向いたところで旗が振り下ろされる。ゴール板付近で見ていると、“展開”がなかなか分からない。

直線の攻防

 300mなのでレースはあっという間である。ゴール前はかなりの接戦で、50mのハンデを生かした1番クリボンが優勝。2着4番マーブル、3着6番メルモチャンという着順で「確定」した。

レース後移動風景1 レース後移動風景2

 1番クリボンに乗った中神美渚騎手は最年少の小学校3年生。競馬デビューは前走の浦河競馬で、今回二度目の騎乗ながら見事に優勝した。

表彰式風景 中神美渚騎手インタビュー

 全馬、無事にゴールし、今年も予定通りポニー競馬が終了した。このレースで最も怖いのは、落馬、放馬などのハプニングだが、多くのポニーがすでに何度も競馬を経験しており、場慣れしている。

中神美渚騎手の父、哲重さん

 来場したファンからは「可愛い」という声がずいぶん聞こえてきた。ポニーに子供が乗ってレースをするのは、見た目だけで言えばなかなか絵になる光景である。

 先週も触れたように、来る11月8日、東京競馬場で行なわれる予定の「第1回ジョッキーベイビーズ」は、昼休みに芝コース400mで8頭立てで実施されることになっているが、おそらく多くの観客から歓声が上がることだろう。「見た目が可愛い」というのは子供の大きな特権である。もちろん、その裏には、日頃の練習の積み重ねがあるのは言うまでもないのだが…。

 なお、この日は幸い好天に恵まれ、数日前までの週間予報(降水確率70%の雨予報)とは裏腹に絶好のコンディション。気温も20度弱と程良く、ようやく日高も夏らしい気候になってきたことを実感させられた。

 思えば7月は平年の3倍の降水量と半分の日照時間に泣かされた月であった。遅まきながら、ようやく日高はこれからが夏本番である。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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