標津・中標津、馬事競技大会

2009年09月01日(火) 18:00 0

中標津・朝のウォーミングアップ 

 今年で34回目を数える「標津・中標津、馬事競技大会」が8月30日、道東・中標津町で開催された。

 曇り時々晴れ、気温は例年よりも低めの競馬日和。いつもならば前が見えなくなるくらいに砂埃の舞うコンディションになるが、雨の多い今年はそんな心配もなく、快適であった。

中標津・馬運車到着 

 午前7時に会場に着くと、すでに多くの馬運車が到着している。私たちの後からも続々と会場入りする車両が続いた。ポニーから大型馬まで、あらゆる大きさの馬たちがここに集結してくる。わが浦河ポニー乗馬少年団も、今年は馬9頭、騎手9人での参戦となった。

中標津・本部席 

 一日で32レースをこなす競馬である。繋駕や速歩を含めた周回コース(一周1000m)でのレースと内馬場にあるばんえいコースとでは、ほぼ半々の割合だが、出走馬は圧倒的にばんえいが多い。たぶん7対3くらいの比率になるだろう。因みに、エントリー数は両方合わせて約100頭と聞いた。

中標津レース風景 中標津レース風景

中標津レース風景 中標津レース風景

 第1レースの発走は午前10時。それから目まぐるしくレースが消化されて行く。放送を注意深く聴いていなければ、今何レースが行われているか分からなくなるくらいに進行が早い。また、申し込みの少ないレースはいとも簡単に「中止」になる。そこで順番が狂うので必ずしも数字順にレースが実施されるとは限らない。

 一つのレースが終わったら、もうすぐ次の出走馬が馬場入りしてくる。馬が揃ったらスタートが切られる。勝利の余韻に浸る暇などまったくないままレースはどんどん進行する。それは周回コースでもばんえいコースでも同じである。

迫田栄重アナ 

 それぞれ別々の草競馬を同時進行している、と言った方が早いかも知れない。全レースをたった一人で実況しているのは迫田栄重アナ。ワイヤレスマイクを片手に、場内を行き来しながら慌てることなくこなして行く。

 馬番は周回コースの場合、騎手が着用するゼッケンで表示される。またばんえいコースでは馬にゼッケンが着けられる。どちらもかなり使い込まれている感じだ。

 近年、ばんえいでは、大型馬が減少傾向にある分、ポニーが増えているらしく、この日も負担重量ごとにA~Dまでクラス分けされ、それぞれレースが組まれていた。

ポニーの計測 ポニーばんば

 ポニーばんばの場合、最も軽い組で50kg(D)、80kg(C)、140kg(B)、170kg(A)という分類である。そして、体高120センチ以上になるとハンデが課せられるため、朝の受付時に実施される「体高測定」の際には喧嘩腰で抗議する出走馬主(兼騎手)もいた。

 多くの馬は1日で2度出走する。エントリー料を5000円支払うと、最大2回出走できるシステムで、しかもほぼ全レースに賞金が出ている。1着1万円、2着7000円、3着5000円、4着以下2000円。つまり2回とも着外であっても、4000円は戻ってくるシステムになっているのだ。

中標津・大型馬ばんえい 

 最も賞金の高いレースは第32レースの「重量馬」というクラス。1着賞金はここで3万円に跳ね上がり、負担重量も最大900kgとなる。因みに、帯広ばんえい競馬のフィナーレ「ばんえい記念」では重さ1トンを曳くのが売り物になっているが、2つある山(障害)の形状が異なるとはいえ、900kgはかなりのものだ。

 なお、ポニーのキャンターは、いきなり第2レースに1000mで組まれていた。出走馬は7頭。しかし、このうち6頭が浦河からの遠征馬たちである。同じ午前中に、もう1レース(300mスプリント戦)が実施されたが、これも出走馬の顔ぶれは変わらず、出走馬の確保が年々難しくなってきていることを思い知らされる。

中標津・繋駕レース 

 とりわけトロッターの速歩や繋駕は、もう完全に顔ぶれが固定化している。若い世代もいるにはいるが、絶対数そのものが極端に少なく、後進の育成が急務である。

中標津・口取り 

 さて、最後にいかにも草競馬ならではのエピソードを一つ。

 馬名は、出走馬の馬主が考えて届けることになっているが、中には秀逸な“作品”がある。今年、最も大笑いさせられたのは、軽種馬(たぶんサラブレッド)では「オマツリダゴッホ」、ばんえいでは「サッポロイチバン」というもの。とりわけ「オマツリダゴッホ」のセンスには脱帽であった。

 全レースが終了したのは午後3時。それでいて昼休みも1時間近く取っている。いかにレース間隔が短いかがお分かり頂けよう。

 この後、ばんえいは毎週のように各地で開催される(6日本別、13日富良野、20日別海)が、ポニー少年団の遠征は19日の別海競馬になる。またこのコーナーでご紹介する予定でいる。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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