第一回ジョッキーベイビーズに向けて

2009年09月08日(火) 23:00 0

全国ポニー競馬選手権、第一回ジョッキーベイビーズ 

 全国4地区より2名ずつの小学生~中学1年生までの“騎手”8名を東京競馬場に呼び、11月8日(日)の昼休みを利用して、ポニーレースを実施する。これが「全国ポニー競馬選手権、第一回ジョッキーベイビーズ」の内容である。

 北海道地区、長野地区、鹿児島・宮崎地区、東京地区の計4地区で、それぞれ予選を行い、代表を選出する。北海道では、当欄にて以前触れた通り、7月26日(日)に行われた「浦河競馬祭」にて、すでに2名の代表が決定済みだが、その後も、次々に各地から代表が決定したとの情報が入ってきている。

 長野では、塩尻市で開催された「高ボッチ高原観光草競馬大会」(8月1日)において、中学1年と小学2年の姉妹が選ばれたという。代表選考レースを2レース行い、それぞれの1着馬に騎乗した子を選んだらこうなったらしい。

 高ボッチ高原は標高1600mにあり、「日本一標高の高いところで行われる草競馬」だそうである。写真で見た限りでは、コースはかなり勾配がありそうで、しかも幅員が狭そうだ。一周400mという。ポニーならばともかくも、ここで軽種馬のレースはさぞ苦労があるだろうと思う。

全国ポニー競馬選手権、第一回ジョッキーベイビーズ 

 続いて、先日(8月30日)には、JRA宮崎育成牧場にて「馬に親しむ日」というイベントが行なわれ、そこで予選レースを実施し、代表2名が決まったという。宮崎育成牧場は一周1600mのダートコースがあり、JRA育成馬の馴致・調教を業務としている。ここの代表はともに中学1年だそうである。

 残る枠は2つ。来る9月23日、東京・世田谷にある馬事公苑の「愛馬の日」に、関東地区2名の代表が決定する予定である。

 なお、本番で子供たちが騎乗するのはこの馬事公苑所属のポニーである。直線400mのレースとはいえ、おそらくかなりのスピードで疾走するはず。大観衆の前でぜひ素晴らしいレースを展開して欲しいところだ。

 すでに、前日と当日のおおよそのスケジュールが決まっている。11月7日(土)午後1時に東京競馬集合。その後2時より騎乗馬抽選会と打ち合わせを行い、3時から乗馬訓練である。

 ここで組み合わせを決めた後、それぞれの技量や人馬の相性など見て、4時半よりリハーサルを実施する、とある。最終レース終了後に、実際に東京競馬場の芝コースで予行演習することになるのかどうか。

全国ポニー競馬選手権、第一回ジョッキーベイビーズ 

 翌8日(日)は午前8時に競馬場集合。9時より乗馬訓練や騎乗馬の手入れなどを行い、10時に最終打ち合わせ。10時半より準備に入り、11時40分、本場場入場となっている。その後、レース~表彰式と目まぐるしく進み、最後に騎乗馬を手入れして、午後2時に解散である。

 この日、同行する保護者や関係者のために、東京競馬場ではゴンドラの一室が用意されている由。長野や関東地方ならばいざ知らず、北海道からでは、こういう機会でもなければなかなか東京競馬場まで子供を連れて行けないので、私も娘とともに応援ツアーに参加するつもりでいる。

 いったいどんなことになるものか。期待と不安が半々といったところだが、この試みが定着すれば、全国の乗馬を愛好する少年少女にとって、またとない「目標」にはなるだろう。

 と同時に、JRAにとっても、この世代の子供たちの全国的な分布がおおよそ把握できることにもなる。何しろ、従来は、草競馬といっても各地でそれぞれ独自に開催されていたに過ぎない。地理的なハンディキャップもあり、横の連携まではなかなか至らなかったはずである。それが、これをきっかけに、地域を超えた交流の輪が広がることも期待できそうだ。

全国ポニー競馬選手権、第一回ジョッキーベイビーズ 

 そして、北海道、長野、宮崎・鹿児島、関東以外の地区からも、ぜひ代表を送り出したいという希望が寄せられる可能性も高い。どの地域にどれだけ競馬に特化した子供がいるのか、今の段階ではまったく分からないのだが、少なくともこのイベントによって、一応の目安ができそうだ。「あの程度ならば私たちも」と思えるか「あんなに上手でなければならないのであれば難しい」と感じるか、まずは一度、ご覧頂くしかない。

 今更、言っても始まらないことだが、こうした試みは、もっと早くから取り組むべきであったと痛切に感じる。それこそ、競馬人気が絶頂期に達していた時代に始まっていれば、今ごろはすっかり定着して、全国の子供たちの「憧れの舞台」として内外に知られる一大行事に育っていたはず。何とも惜しまれる。

 ともあれ、記念すべき第一回目の大成功を願うばかりだ。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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