2009年10月23日(金) 12:50
例年、1分33秒前後のスピード決着のマイル戦。高速の東京コースはあまり「差し=追い込み」が決まらないのがパターンだが、今年は毎日王冠、府中牝馬S、アイルランドT、白秋S、オクトーバーS。ここまでに行われた1600万以上の芝のレース5鞍、8頭の差し=追い込み馬が連対している。とくに府中牝馬Sなど、1000m通過58.1秒のハイペース(毎日王冠は60.0秒)にも近い流れになったこともあるが、最後方で前半タメたグループの1〜4着独占だった。イン有利という傾向もない。どうやら、いつもの年と少し異なり「差し馬」にも不利のない高速の芝といえる。
ちょっと人気になりすぎのきらいはあるが、54kgの3歳馬ケイアイライジン(父ケイムホーム)から入りたい。
新馬当時からの印象は、簡単にはバテないが大跳びでちょっとジリ脚質。調教でも楽々と好タイムを計示するものの、鋭く一気に伸びるイメージがない。アントニオバローズ、ヤマニンウイスカーに競り勝ち、イコピコ(みんな菊花賞に出走)の差しを封じた5月の「プリンシパルS」も、渋いがもうひとつ切れない印象だった。
だが、スタートでつまずき、2コーナーでは最後方近くにいた京成杯AHを1分32秒4で小差4着。1分32秒1で決着の高速レースらしく、上位を占めたのはみんな中団より前にいたグループだったから、馬群を割って突っ込んだケイアイライジンのレースぶりは光った。ハイペースで最後に突っ込んだ同馬の切れ(上がり34.5秒)が、数字以上に鋭く見えたのは事実だが、夏を過ぎて全体にシャープになったのも確か。勢いを評価したい。そう器用ではなく、間違いなく東京は合う。ポン駆けOKのアブソリュート、目下絶好調の牝馬ザレマ、3歳レッドスパーダが本線。
先行勢では、昨年1分32秒7でしのぎ切ったサイレントプライドが、今年も調子は上昇中。58kgの前走も内容は悪くなかった。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。