2009年11月24日(火) 23:40 0
11月19日(木)、道営ホッカイドウ競馬が今年度の開催を終えた。
この日、門別競馬場は降雪に見舞われるあいにくの空模様となったが、今年最後のナイター競馬を楽しもうと各地より多くのファンが集まり、最終的には1397人の入場者を記録した。普段の開催では、1000人どころか500人にも達しない規模で推移しており、この入場人員は異例の多さなのである。
この日の最終レースは恒例の「第52回・道営記念」。フルゲート16頭がエントリーした。1着賞金1000万円の他、JBC協会の協賛により副賞として「シンボリクリスエス賞(来春の配合権利)」が贈られることになっている。
人気は重賞2つを含む目下4連勝中のコパノカチドキ(牡6歳)とヒロアンジェロ(牝4歳)が分け合う形となり、フーガ(牡3歳)がそれに続いている。夕刻からひどくなってきた雪がちょうど最終レースの頃には小止みになった。柵沿いには今年最後の大一番を見ようとファンが並び、レースの開始を待った。
1頭(フジノダイヒット)が事故のため出走取消となり、15頭でのレース。地元富川高校の生徒による生演奏のファンファーレが場内に響き、午後8時30分、道営記念がスタートした。
アースファイヤー、ミスティックダイヤがレースを引っ張り、4コーナーを回ってからコパノカチドキが馬群より抜け出して後続馬を引き離し、ヒロアンジェロに4馬身差をつけて1着でゴールイン。完全な横綱相撲を見せ、重賞3連勝を飾った。
コパノカチドキは父ブライアンズタイムに母ジェミニスター(母父ニジンスキー)という名血の牡6歳馬。
今年、中央より道営に移籍し、7月に道営初登場するやわずか5か月で一気にトップの座まで昇りつめた。
管理は角川秀樹調教師。角川師はこれで3年連続のリーディングトレーナー(474戦79勝)となり、
道営だけでも収得賞金が1億2614万円を稼ぎ出し、重賞10勝、ダントツの成績を残した。
とりわけ圧巻だったのは、道営記念の前日(18日)、船橋競馬場で行われた「平和賞」をナンテカとブンブイチドウで1、2着という快挙を成し遂げていること。自身も「充実した最高の年だった」と言うように他を寄せ付けない好成績を挙げた1年であった。なお、リーディングジョッキーは514戦101勝、9年連続で五十嵐冬樹騎手が獲得した。
4月29日に開幕した道営ホッカイドウ競馬は、札幌開催こそ大きく躓いたものの、開催場所を門別に移し「グランシャリオナイター」となってからは、景気の低迷する中、よく健闘した。最終的に16開催81日間で、前年比101.4%の115億4570万2200円を売り上げ、計画にはわずかに及ばなかったものの、一応の成績は残したと評価できるだろう。
何かと話題の多かったナイター初年度から、来年はいよいよ収支均衡の求められる年となる。道営競馬存続の条件として、かつて高橋はるみ北海道知事が「平成22年度末までに収支均衡していること」と明言した重みを改めて感じる。
田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。