メイダン競馬場での施設見学ツアー

2009年12月22日(火) 23:59

 1月28日にこけら落としの日を迎えるドバイのメイダン競馬場で、15日、内外の記者70名ほどを集めての施設見学ツアーが行なわれた。

 今年3月のワールドC開催に出向いた際にも、全長1.6kmに及ぶ巨大な建造物の外観は見ることが出来たが、6万人を収容できるという客席や、付設された5つ星ホテルの「ザ・メイダン」、ミュージアムやギャラリー、競馬場の電力源となる屋根のソーラーパネルなどを含めて、完成間近まで来たようだ。一時は、来年のワールドC開催に間に合うのかと、工事の進捗状況が危惧された新競馬場だが、このタイミングで報道陣にお披露目する背景には、そうした危惧を払拭する目的もあったはずだ。

 ドバイの政府系企業から、12月半ばに期限がくる債務の返済を待って欲しいとの要請が投資家たちになされたのをきっかけに、いわゆる「ドバイショック」と称される金融不安が世界各国に広がり、競馬開催への影響を懸念する声も挙がったのが、11月下旬だった。政府系企業については即座に、アブダビが支援を約束して火消しにつとめ、同時に競馬関連事業に関しても、シェイク・モハメドをはじめマクトゥーム・ファミリーが馬に投じている資金は、政府系企業とはまったく財源を異にするもので、今後も馬への投資を続けるとの言明があり、競馬開催へ向けた不安はほぼ完全に払拭されるに至っている。

 なおかつ、スタンドをはじめとしたハード面での整備も完了しつつあるとなれば、もはや1月28日のこけら落としを待つばかりと言えそうだ。ただし、この原稿を書いている12月15日午前の段階で、正式発表がなされていないのが、肝心要のドバイワールドCデー(3月27日)のプログラムである。

 メインレースのワールドCは、タペタという素材が敷設されたオールウェザートラックを舞台に行なわれることは発表されているが、それ以外のカードについての詳細が、いまだ不明なのだ。

 昨年までのナドアルシバと異なり、メイダンのコースレイアウトは、オールウェザーの外側に芝コースが敷設されている。その芝コースには、1200mの直線走路が付随しているため、芝の短距離戦が新設されるのではないか、あるいは、これまでダート1200mで施行されていたゴールデンシャヒーンが芝に移設されるのではないか、といった噂も飛んでいるが、主催者からの正式な発表は行なわれていない。

 1月28日にスタートするカーニヴァルへ向けて、日本からも複数の国際馬房申請が出され、かなりの数の馬について申請受諾の回答が来ている。本当に遠征するかどうか、これから各関係者間の話合いになるのだろうが、例えば短距離馬の場合、目標となるレースの詳細がわからないうちは遠征プランを具体化することも出来ないわけで、主催者は1日も早く、3月27日のプログラムを明らかにすべきであろう。

 ちなみに、既に発表されているカーニヴァルのプログラムを見ると、これまで1777mという半端な距離で行なわれていたG2ジェベルハッタの施行距離が1800mになっており、これに直結する本番のG1ドバイデューティーフリーも、1800mになるものと見られている。また、昨年まではダート1800mで行なわれていたUAEオークスやアルバスタキヤがオールウェザーの1900mに変わっており、ワールドC当日のG2・UAEダービーも、従来よりは100m距離の長いオールウェザー1900mで争われると見て良さそうだ。

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合田直弘

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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