招福S

2010年01月08日(金) 12:50

 このクラスの「ハンデ戦」はだいたいが波乱含みで、人気どおりの結果は少ないことになっている。同じ1600万下に属するといっても、限りなくOP馬に近いような力量馬もいれば、なんとなく1000万下を勝つことになってしまって、正直、もうこのあとは苦戦の連続だろうという馬もいる。同じクラスといっても能力のバラつきはどの条件クラスより大きい。必然的にハンデの上下差は大きくなる。芝に比べれば展開、ペースなどによる紛れの少ないダート戦だが、ハンデ差が大きくなるだけにその恩恵がありそうな「上がり馬」には注意したい。

 このレース、近3走以内に「1000万下」を勝ってこのクラスになった馬が、半分以上の10頭もいる。そのなかでまだまだ上昇のありそうな若い4歳馬はデンコウヤマト(父クロフネ)ただ1頭。この半年間に3勝してこのクラスに上がってきた。ハンデの恩恵はないが、こういう上がり馬は有力馬に加えたい。他の格上がり組がそうは上昇余地があるとは思えないだけに…。

 しかし、6歳になってこのクラスに上がってきたラストアローは、ベテラン牝馬というわけでもない。3歳時、4歳時は再三再四の脚部不安に悩まされ、2年間に出走したのはたった6回だけ。いつも休み休みだった。ようやく脚部が固まってビシッと追って出走できるようになったのは、昨年5歳時の後半から。前回はまだ評価が低かったが、苦しい位置でもまれながら一気に抜け出して5馬身差の圧勝。時計のダート1800m1分54秒0は平凡に映るが、翌日の1600万条件の混戦が1分53秒4で、2着〜5着は1分53秒7〜9だったから、上がり3F37.6秒でまとめて独走の時計とすると遅くはない。

 フェブラリーSなどダートで11勝もしたタフなウイングアロー(父アサティス、母の父ミスターシービー)の全妹。まだ力をつけてくれるだろうし、タフな一族でもある。兄も強くなったのは古馬になってからだった。クラストゥス騎手も魅力。たちまち日本流の速い流れを飲み込み、特にダート戦では強気、強気に攻めて出るから、もう良く知られるように再三伏兵で快走する。というより、人気の中心馬にはめったに乗らないでこの勝ち星は見事なものだ。ある程度早めに行ってくれるだろう。

 まず崩れないエアマックール、前出のデンコウヤマトの2頭を本線に、渋いロッソトウショウ、ポーカーフェイス以下、少し手広く流したい。

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柏木集保

1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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