2010年01月29日(金) 23:50
昨年こそ雨にたたられ1分36秒9(レース上がり37.5秒)も要する不良馬場になったが、08年の勝ち時計は1分32秒8。07年は1分32秒7。真冬ながら東京コースの芝コンディションは秋口並みに整備されている。たとえハイペースに持ち込まれなくとも、1分33秒0を突破して不思議ない「スピード決着」が予測される。
1分32秒台の持ち時計のある馬が計「8頭」。かなり人気も割れるだろうし、ここは明確な能力差などありえない。GIIIらしくない好カードになった。
まだまだこれから大きく変わってくれるはずの4歳馬トライアンフマーチに期待する。前回は、未勝利時以来の久しぶりの1600m。父スペシャルウィークを連想させる細身の体型とはまったく別で、明らかに母キョウエイマーチ(その父ダンシングブレーヴ)に似た体つきから、高いマイル適性は予想された。
しかし、いきなり「1分32秒7」の快走は期待以上である。11月の東京だから時計そのものは驚くほどではないが、先行馬の引っ張る展開(流れ)に恵まれたものではなく、「飛ばす馬はいない」と聞いたC.スミヨン騎手が、それまでのトライアンフマーチのレース運びとは変えて、途中から自分で動いて記録した好タイムだった。トライアンフマーチ自身の前後半は推定「46.7-46.0秒」。優れたマイラーの素養がなければとても不可能なバランスのラップである。未勝利時の持ちタイムと比較してもあまり意味はないが、いきなり1600mの時計を「3.2秒」も短縮したあたりにも、それまで秘められていた、溢れるスピード能力を感じさせた。
激走の反動が出ないように慎重に間をあけて、紛れの生じにくい東京コースに的をしぼったのも理想のローテーションと思える。今度は気合を入れなくてもスムーズに流れに乗り、久しぶりのマイル戦だったキャピタルS以上の内容が可能だろう。
この枠順なら下げることなく好位で流れに乗れそうなレッドスパーダは、力で押し切るタイプに育ちそうな同世代の4歳馬。同じタイキシャトル産駒のメイショウボーラーと同様に母の父ストームキャット。速い流れのマイル戦が合っている。
一連のベテラン快走のレースとは異なり、まだこれからもう一段の成長が望めるアブソリュート、スマイルジャック、マイネルファルケが当面の相手だが、7歳タマモサポートの今回の追い切りは悪くなかった。不振が続き、まったく人気の圏外になっただけに、ぜひ相手に加えたい。トライアンフマーチから入るのだから、キャピタルSで接戦のキャプテンベガも当然押さえる。
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柏木集保
1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。