2010年02月13日(土) 12:00
去年の今ごろ、ついに国内・海外200競馬場踏破を達成した私。その後も何回か海外遠征に出かけた結果、踏破した競馬場の数は208に達しています。次なる目標、海外200場踏破まではあと31カ所。何しろ先立つものがないと海の向こうには行けませんから、近いようで遠い道のりです。
それと、おかげさまで私には「ウイニング競馬」の仕事があります。なので、毎週土曜日は日本にいなければなりません。これまでのほとんどの海外遠征は、その合間を縫って敢行してきました。
ということは、なかなか見るチャンスのないレースや、どうやっても行けない競馬開催がたくさんあります。イギリスのダービーもそのひとつ。かつて6月第1水曜日に開催されていたときには行けないこともなかったのですが、その機会を見つけられずにいるうちに、6月第1土曜日の開催になってしまいました。
ただし、2012年のエリザベス女王即位60周年記念=ダイヤモンドジュビリーで、5月末〜6月初めに大型連休が設定されるのに伴い、6月第1火曜日に開催するか、あるいは元の第1水曜日の開催に戻すかの検討が行われているとのこと。これは“チャンス到来”となりそうです。
ダービーの舞台、エプソム競馬場はすでに踏破済みなのですが、グランドナショナルが行われるエイントリー競馬場にはなかなか行けません。この競馬場でレースがあるのは年に10日弱。そのすべてが、木曜日から日曜日になっています。今年で言えば10、11月にそれぞれ1回ずつ予定されている日曜開催を見に行く手はあるんですが、どうせ行くならグランドナショナル(4月第1土曜日に開催)を見たいですよね。でもそれは、「ウイニング競馬」のお世話になっている限り無理な話。エイントリーは、“未踏の競馬場”として残っているわけです。
それじゃぁ、もし1回だけ、土曜日の仕事を休んでもいい、となったらどこへ行くか。グランドナショナルを見に行く?それとも、ドバイワールドC(3月最終土曜日)?ケンタッキーダービー(5月第1土曜日)?いやいや、実はそれらを差し置いて、最優先で見に行きたい競馬があるんです。
それは、スイス・サンモリッツの「ホワイトターフ」。毎年2月、凍結した湖の上で行われる氷上競馬です。
1907年創設という歴史と伝統を誇る真冬の風物詩で、フツウの平地競走のほか、トロットレース(繋駕速歩競走。馬が引っ張るのは馬車ではなく、このレース専用の馬ソリ)と、スキー板を履いた騎手が馬に引っ張ってもらいながら手綱を操る、世にも珍しいスキーレースの3種目が行われています。
今年の開催日は7、14、21日。毎年のことですが、すべて日曜日に設定されています。サンモリッツには定期便が発着する空港はなく、日本からは、まずチューリッヒまで飛んで、そこから鉄道に乗り換えて行くしかありません。土曜日の仕事を終えて日本を発ち、よほどうまく乗り継ぎができたとしても、サンモリッツに到着するのは日曜日の午後2時頃。今年のプログラムによれば、スキーレースには間に合わず、ナマ観戦できるのは2〜3レース程度です。チューリッヒでの乗り継ぎにちょっとでも手間取れば、現地に着いた頃にはレース終了、ということになりかねません。これじゃぁ行けないでしょう。
そんなわけで、サンモリッツの氷上競馬は、インターネットを通じて楽しませてもらっています。ありがたいことに、同競馬の公式サイトが、最近、とても充実してきました。中でも必見なのがスライドショー。重厚なBGMとともに“ビューティフルショット”が次々に現れ、開催日の雰囲気を垣間見ることができます。今年もすでに7日の映像が公開されていますが、この日は天候に恵まれたようで、見事な出来栄えになっています。みなさんにもぜひご覧いただきたいですね。
いつかは行ってみたい、サンモリッツの氷上競馬。いつ行けるかはわかりませんが、以前にも書いたとおり、地球温暖化で湖が凍らなくなり、開催不能に、なんていうことがないよう、末永く続けてもらいたいものです。では、また来週!
ホワイトターフの公式サイト(英語版)=http://www.whiteturf.ch/index_en.htm
スライドショーを見るには、「News」の「Slideshow2010」から入ってください。
バックナンバーを見る
このコラムをお気に入り登録する
お気に入り登録済み
お気に入りコラム登録完了
矢野吉彦「競馬最前線」をお気に入り登録しました。
戻る
※コラム公開をいち早くお知らせします。※マイページ、メール、プッシュに対応。
矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。