2010年02月20日(土) 00:00
東京スポーツ(=東スポ)の競馬面に、私が書いている「地方競馬応援席」というコラムがあります。先週16日発行分のテーマは「騎手の年齢」でした。
今月6日に、ばんえい競馬の鈴木恵介騎手が年度最多勝記録を塗り替える174勝をマーク。10日から11日にかけては、兵庫の木村健騎手が兵庫ではタイ記録となる騎乗機会7連勝を達成しました。この2つのニュースを聞いて「そういえばこの2人の年齢、近いんじゃないか?」と思ったんです。
そこで調べてみたら、鈴木騎手が76年10月生まれ、木村騎手が75年8月生まれで、1つ違いでした。もう1人、昨年の地方競馬最優秀勝率騎手賞を獲得、今年も50%近い驚異的な勝率をキープしている高知の赤岡修次騎手も「そのへんかな?」と思って調べると、77年3月の生まれ。鈴木騎手と同学年ということがわかりました。つまり、年齢的には、3人ともちょうど30代半ばに差しかかってきたわけです。
で、東スポには、「武豊騎手が3年連続200勝を挙げたのが03〜05年にかけてで、年齢では34〜36歳の頃。騎手の絶頂期は30代半ばかもしれない」と書きました。今回の当コラムはその続き。もうちょっといろいろ調べてみた結果をご紹介します。
地方競馬全15地区(ばんえい、北海道、岩手、大井、船橋、川崎、浦和、愛知、笠松、金沢、兵庫、福山、高知、佐賀、荒尾)の2009年最多勝騎手の生年月日を調べてみました。すると、木村騎手の同期にあたる「75年の遅生まれ」か「76年の早生まれ」という騎手が他に2人、鈴木騎手と赤岡騎手の同期、「76年の遅生まれ」か「77年の早生まれ」という騎手が他に3人いたんです。
木村騎手の同期は、北海道の五十嵐冬樹騎手(75年9月生まれ)と船橋の左海誠二騎手(75年5月生まれ)。鈴木騎手、赤岡騎手の同期は、岩手の村上忍騎手(77年2月生まれ)、川崎の今野忠成騎手と愛知の岡部誠騎手(ともに77年3月生まれ。今野騎手は4日、岡部騎手は3日で1日違い)。ということは、2009年の各地区トップジョッキー15人のうち半数を超える8人が75〜77年生まれ。今年33〜35歳になる人たちだったわけです。これって、単なる偶然でしょうか?
まぁ、これをもって「騎手の絶頂期は30代半ばである」と断言することはできないでしょう。あくまで「かもしれない」としか言えません。いや、「絶頂期」と言うよりも「充実期」としたほうがいいような気もします。
「じゃぁ、それ以降に活躍している場合はどうなの?」と聞かれれば、それはたぶん「円熟期」というのがふさわしいと思います。武豊騎手や横山典弘騎手、内田博幸騎手といった人たちには、ますます円熟味を増していってほしいですね。
もし、騎手が30代半ばに絶頂期を迎える場合が多い、とするならば、もうすぐその年齢に達しそうな人たちが楽しみ、ということにもなるはず。80年代前半に生まれた騎手の中に、期待の星が数多くいるに違いありません。昨年の地方競馬各地区トップジョッキーの中には、80年7月生まれの戸崎圭太騎手(大井)、81年1月生まれの繁田健一騎手(浦和)、82年1月生まれの楢崎功祐騎手(福山)、83年10月生まれの吉原寛人騎手(金沢)、84年3月生まれの尾島徹騎手(笠松)がいます。この年代の腕達者も多士済々。あと数年の間にどこまで勢いを増してくるか、注目しておく必要があるでしょう。
ところで、今、日本で活躍している有力騎手の多くが「早生まれ」ということにお気づきでしたか? 2009年の地方競馬各地区トップジョッキーの中では、赤岡、村上、今野、繁田、岡部、尾島、楢崎騎手の他、佐賀の山口勲騎手、荒尾の尾林幸彦騎手と、なんと9人が早生まれ。中央では武豊、横山典弘騎手の他、安藤勝己、岩田康誠、藤田伸二、後藤浩輝、蛯名正義騎手といった人たちが、みんな早生まれなんです。これこそ単なる偶然でしょうが、ひょっとしたら何か理由があったりして…。
ついでに、「早生まれ」にちなんだ話をさせていただくと、元巨人の桑田真澄さんは、1968年4月1日生まれです。細かい理由を書くと長くなるので省略しますが、4月1日生まれの人というのは「究極の早生まれ」で、同学年の人たちの中では「一番遅く生まれた人」になります(ちょっとややこしいですが)。つまり、桑田さんは、同期の中で一番若い存在にもかかわらず、高校1年生の時からあれだけの大活躍をしていたわけです。そう考えると、桑田さんの凄さが際立ってくると思うんですけど。
こういう話は、始めたらなかなか終わらなくなってしまうもの。今回はこのくらいにしておきましょう。さぁ、今週は2010年のGIレース第1弾、フェブラリーS。その予想は「矢野吉彦の競馬日記」でご披露しています。では、また来週!
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。