2010年03月06日(土) 00:00
先週のコラムでお知らせしたとおり、4日にドバイ・メイダン競馬場で行われた「スーパーサーズデー」を観戦してきました。
アル・マクトゥームチャレンジ・ラウンド3を見事に勝ち切ったレッドディザイアの末脚、鮮やかだったですね。当日のオールウェザー(タペタ)トラックでは、1200m戦で1分10秒82、1600m戦で1分35秒95と好タイムが続出、メイダン新コースの一番時計が次々に更新されていました。さすがは「スーパーサーズデー」、という感じだったんです。その流れの中、すでにメイダンの馬場を経験している実績馬をまとめて負かしたわけで、立派な勝利だったと思います。いいものを見せてもらいました。
現地からの衛星中継でどのように映っていたかわかりませんが、パドックではウオッカのほうが落ち着いていて、レッドディザイアはちょっとチャカチャカしているように見えました。馬体も少し細く感じるくらい。もし4日夜のドバイがもっと蒸し暑かったら、大汗をかいていたところでしょう。そう、当日の気温は20度そこそこで、とても過ごしやすかったんです。湿気もなく、汗が出てもすぐに乾いてしまう状態。ひょっとしたら、そんな気象条件も味方になったのかもしれません。
返し馬も元気一杯だったレッドディザイア。レースの流れがユッタリだったのにキッチリ折り合えたのは、ペリエ騎手の巧騎乗があったからでしょう。ちなみに、1000mの通過は1分3秒58というスローペース。いわゆる「上がり3F」は35秒12、ゴール前400mからは23秒ちょうど、200mからは11秒40というタイムが計測されました。後ろから2頭目あたりから追い込みを決めたレッドディザイアは、かなりの速さの末脚を繰り出したはずです。
これで「タペタトラックは、芝で切れ味を発揮する馬向き」というイメージがますますふくらんでいきそうです。だとすれば、レッドディザイア陣営としては、当初予定していた芝のドバイシーマクラシックよりも、ドバイワールドCに向かわせたい気持ちが強くなっているんじゃないでしょうか。
一方、ちょっとガッカリだったのがウオッカです。パドックの雰囲気は悪くはなかったと思うんですけど、終わってみればちょっと落ち着きすぎで気合い不足だったのかも。角居調教師が「休み明けと遅い流れで折り合いを欠いていた」と話をしていたように、向正面の走りには「力み」が感じられました。乗り方の難しい馬なんですね。今回のレースは、勝ち負けよりもワールドCへ向けての「馬場慣らし」が優先だったはずで、8着という結果も度外視していいと思いたいところですが…。
さてさて、メイダン競馬場についてのさらなる観戦レポートについては、次回にご紹介させていただきます。
でも一つだけ、何はともあれご紹介したいのが、ターフビジョンの映像がおもしろい、ってこと。画面を5分割しても、一つ一つの画面で迫力ある映像が楽しめる超巨大マルチビジョンなんですが、レースになると、そこにアニメーション映像が映し出されるんです。何を映しているかというと、道中の各馬の位置取り。先頭に立っているのが何番の馬で、その後ろはどうなっているのか、一目瞭然のコンピューターグラフィックです。
さらにレース後は、「1着馬がどういう順位からどのようなコースをたどって勝ったか」と、その馬の「ジョッキー目線」で見たらレースはどのように見えていたか」が、やはりCGで再現されます。同時に実写のリプレイも映し出されますから、今行われたレースがどんなものだったか、勝ち馬はどのようにして勝利を収めたのかを振り返るためには至れり尽くせりの仕掛け。これはおもしろかったですね。
ということで、今回のドバイ・スーパーサーズデー観戦記、「速報版」はここまで。続きは、また来週です。どうぞお楽しみに!
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。