2010年03月20日(土) 10:00
3月27日(土)はドバイワールドCデー、翌28日(日)は高松宮記念。楽しみなレースが目白押しの季節を迎えました。
もうひとつ、忘れちゃいけない大一番があります。そう、「第42回ばんえい記念」。今年も3月最終日曜日、28日に行われます。ということで、今週の当コラムでは、その見どころをご案内させていただきます。
3年前、トモエパワーがばんえい記念を初めて制した時は、坂本東一騎手(現調教師)が手綱を取っていました。坂本騎手にとっては、それが最初で最後のばんえい記念制覇だったんです。
一昨年と去年は、西弘美騎手が騎乗。そして、去年いっぱいで同騎手が引退した後、トモエパワーの手綱は、息子の西謙一騎手に引き継がれました。1986年3月生まれの24歳。07年の地方競馬優秀新人騎手賞を受賞し、去年9月の銀河賞で重賞初制覇も果たした若手のホープです。とはいえ、ばんえい競馬最大のレース(日本ダービーと天皇賞と有馬記念を一緒にしちゃったようなもの)、ばんえい記念で最有力馬のソリに乗るとなると、その心境はどんなものでしょうか。“4年連続”を狙う10歳馬と、“初めて”を目指す20代半ばの騎手。この組み合わせは大注目でしょう。
一方、打倒トモエパワーの筆頭候補はカネサブラック。3歳時にばんえい大賞典、4歳時に旭川記念(当時は4歳馬限定戦)を制し、早くから重賞戦線で活躍してきました。ばんえい記念は、ばん馬が充実期を迎える7歳時の昨年に初挑戦。堂々、トモエパワーの2着に健闘しています。
ばんえい記念で初めて1トンのソリを曳いたことで、時としてその反動が出て回復に手間取る馬もいるのですが、カネサブラックはヘッチャラでした。今季は、去年4月のオッズパーク杯を皮切りに、北斗賞、岩見沢記念、北見記念、さらに先月のチャンピオンカップと、重賞5勝をマーク。これらはどれもばんえい競馬を代表するレースで、全盛期のスーパーペガサスに匹敵する快進撃を続けてきました。今回、カネサブラックがトモエパワーを破ってばんえい記念初制覇を果たせば、とてつもなく強い大横綱の誕生となるわけです。
カネサブラックと同期で、去年5着だったスーパークリントン、7着だったナリタボブサップも出走を予定しています。去年に続いて“三羽がらす”の揃い踏みが見られそうですが、この2頭がカネサブラックやトモエパワーにどこまで迫れるかも見どころの一つと言えます。
さらに、牡馬勝りの地力を誇る“女傑”、フクイズミが、9歳にしてばんえい記念に初挑戦します。今季は、旭川記念、ばんえいグランプリ、帯広記念と重賞3勝。いずれもカネサブラックを破っての優勝で、牝馬ながらに同馬の最大のライバルになっています。私は常々、「この馬はばんえい競馬のウオッカだ」と公言しているのですが、“女傑”と呼ぶにふさわしい強豪牝馬だと思います。
ばんえい記念のソリの重さは、牡馬1トンに対して牝馬は980?。20?軽いとはいえ、牝馬にとっては“超酷量”です。過去に同レースを制した牝馬は2頭。そのうちの1頭は、なんと3回も同レースに優勝したキヨヒメという馬(ソリの重さは3回とも990?でした)ですが、同馬が最後に優勝した82年以来、牝馬が勝ったことはありません。28年ぶりの快挙なるか。こちらのほうが最大の焦点という人もいるかもしれませんね。
さぁさぁ、「これを見ずしてばんえい競馬を語る事なかれ」のばんえい記念。ドバイワールドCや高松宮記念はもちろんですが、このレースにも、みなさんのご注目、熱いご声援、さらには馬券を購入してのご参戦をなにとぞよろしくお願い致します!!!
なお、レースの予想は、来週末、いつものように「ばんえい競馬情報局」(※注)でご披露しますので、こちらもどうぞよろしく。では、また来週。
▽参照(ばんえい競馬情報局) http://blog.oddspark.com/baneiinfo/
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。