わずか41日間の出来事

何が原因なのかわからない。
「あの」オースミイチバンが交流重賞の兵庫チャンピオンシップを制覇した。

デビュー戦は昨年10月の新馬で10着。
続く未勝利戦でも14着と、まるで走る気配を見せなかった馬だ。
その後は笠松へも遠征してみたが、地元の馬にも先着を許してしまい5着に入るのが精一杯という成績。
良血馬で注目はしていたが、未勝利勝ちのハードルは高く感じられた。

ところが3月になって、この馬にある転機が訪れた。
鞍上が母オースミハルカに騎乗したことがある川島信二騎手に替わったのだ。
川島騎手はその母に騎乗して重賞を3勝、その他にエリザベス女王杯で2着を2回記録している。
ちなみに、川島騎手の初勝利はオースミダイモンという馬。
この馬は父オースミシャダイ・母オースミスワンという血統なのだから、よっぽど「オースミ」の冠とは相性が良いのかも知れない。

若駒の時期に「この馬は朝起きるたびに強くなる」と厩務員が思わず口にするような馬が過去にも何頭かいた。
騎手が替わっただけで、この馬が激変したとは思えない。
しかし現実の話として、川島騎手に替わった途端にオースミイチバンは別馬のように走った。

3月24日に行われた未勝利勝ちは後続に2秒もの差をつけた大差勝ちだ。
これは単勝36.3倍の馬の勝ち方ではない。
ましてや、同じ距離・コースで1ヶ月前に行われた前走では、勝ち馬に1.8秒もの差をつけられて後方を回ってきた馬の勝ち方でもない。
いったいこの馬に何が起こったのか。

その未勝利勝ちからわずか41日。
あっという間の3連勝で交流重賞を制するところまでやってきた。

オースミイチバンがこれからどんな活躍を見せるのか、川島騎手ともども楽しみになってきた。

それにしても、馬と人の不思議な出会いってあるものなんですね。
ホントにこの馬に何が起こったんだろう。