今年も楽しみなルーキーたち

2010年04月24日(土) 12:00

 いやぁ、驚きましたね。皐月賞もサイン馬券炸裂だったじゃないですか。ヴィクトワールピサ(イタリア・ピサ)とヒルノダムール(野田市=千葉)の“都市名”サイン馬が1&2着、エイシンフラッシュ(A)の“アルファベット”サイン馬が3着。もう笑っちゃいます。ちなみに、このサインを教えてくれた例のY氏は、「ノダ」に気付かず、馬券をハズしちゃったそうです。さらに笑っちゃいますね。

 ならば天皇賞は?取りあえず思いつくところでは、トウカイトリック(東海市=愛知)、ホクトスルタン(北斗市=北海道、北杜市=山梨、鳥栖市=佐賀)、ナムラクレセント(呉市=広島)、メイショウベルーガ(宇部市=山口)あたり。そうそう、ベルウッドローツェとマイネルキッツの「ツ」も津市(三重)で押さえておかなければいけません(小さい「ッ」は、それだけでは発音できませんから、これしか含まれていない馬は除外して大丈夫でしょう)。カネトシソレイユの「トシ(=都市)」はありですか?

 さて、今月13日、園田競馬場に競馬観戦に行ったら、史上初(らしい)の出来事を目撃しました。当日デビューした新人騎手2人が、揃って初勝利を挙げたんです。

 まずは第6レース、4歳以上C2級の1400m戦。ホッカイパルニという馬で初騎乗を果たした杉浦健太騎手は、好スタートから絶妙のペースを保って逃げ切り、鮮やかなデビュー勝ちを飾りました。1.1/4馬身差の2着に田中学騎手、さらに2馬身差の3着に木村健騎手。兵庫を代表する名手を従えての堂々たる勝利でした。

 続いて第8レース、3歳C1級1400m戦で、今度は田野豊三(とよかず)騎手が初勝利をマークしました。この日第1レースのデビュー戦は、果敢に逃げを打ったものの5着、2戦目の第5レースは、いいところなく最下位(11着)に敗れていた同騎手。3戦目の第8レースでは、3番人気のマイネルリブレットに騎乗、2番枠からスタートすると、すかさず内ラチ沿いの3番手に潜り込みます。勝負どころの3コーナー手前で先行馬がペースを上げると、田野騎手も手綱を動かしてついていこうとしますが、馬の反応が鈍くいったんは4、5番手に後退。そこで、右ムチを2発入れて粘り強く追うと、ようやく馬もそれに応えて巻き返し、最後の直線は横に5〜6頭が並ぶ激戦の最内を伸び切って、見事に勝利を収めました。

 勢いに乗った田野騎手は、この日の最終弟11レースでも2着に5馬身差をつけて逃げ切り勝ち。デビュー当日に2勝を挙げる大活躍を見せました。この3つのレース、私の馬券はハズレちゃいましたが、いいものを見せてもらったと思います(断じて負け惜しみではありません!)。

 22日現在、杉浦騎手は10戦3勝、田野騎手は17戦3勝2着3着各1回ずつと、ともに好成績をマークしています。あらためて言うまでもなく、兵庫の競馬はこれまで数多くの名騎手を輩出してきました。そこに現れた期待の新星。今後が楽しみです。

 この春、各地の地方競馬場からは、他にも新人騎手奮闘のニュースが伝わってきています。佐賀では、10日の第8レースで、石川慎将(しんすけ)騎手が初騎乗初勝利を挙げました。こちらは10頭立て9番手から追い込んでの勝ち星。佐賀での新人騎手デビュー勝ちは、79年10月にあの鮫島克也騎手が記録して以来、30年6か月ぶりの快挙、とのことです。

 大井競馬でも、20日の第1レースで初騎乗した横川怜央(よこがわれお)騎手が、16頭立て8番人気の馬をいきなり2着に持ってきて、3連単89万6700円の波乱を演出しました。同騎手は、お父さん(横川健二さん)もお母さん(神野治美=かみのはるみさん)も、元名古屋(愛知県)競馬の騎手という純粋な“サラブレッド”。父+子2代の騎手は数多くいますが、両親+子2代の騎手は、日本では怜央クンが初めてでしょう。ちなみにお母さんは、日本の女性騎手としては初めて、初騎乗初勝利を挙げた人、だそうです(私も、その現役時代をちょっとだけ見たことがあります)。

 なお、佐賀では石川騎手のほか、村松翔太騎手、山下裕貴(ひろき)騎手が、大井では横川騎手のほか、千田洋(ちだひろし)騎手がそれぞれデビュー。また、岩手の菅原辰徳騎手、高知の岡村卓弥騎手もすでにデビューを果たしました。しかし、笠松の森島貴之騎手は、初戦を前に調教中の事故で骨折、初騎乗はしばらく先になるとのこと。悔しい思いで一杯でしょうが、ここはあせらずしっかりケガを治して、万全の体調でデビューしてほしいと思います。

 なにはともあれ、初騎乗からさまざまな話題を提供してくれている今年の新人ジョッキーたち。なかなか楽しみな顔ぶれが揃っているようです。みなさんもぜひご注目ください。では、また来週。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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