GRANDAME-JAPANは山中ガールズ躍進

2010年05月01日(土) 12:00

 もうみなさんご存知とは思いますが、今年、地方競馬に「GRANDAME-JAPAN」という牝馬限定のボーナスシリーズが創設されました。

 NAR=地方競馬全国協会の同シリーズ特集サイトによれば、「全国各地で行われる牝馬重賞を世代別に体系づけ、競走成績によりポイントを付与。2歳、3歳、古馬の世代別ポイント獲得上位馬に対し、協賛各団体から(社)日本軽種馬協会を通じボーナス賞金が授与」されるとのこと。“2歳シーズン”の1位になると300万円、“3歳シーズン”では500万円、“古馬シーズン”では1000万円と、地方競馬の賞金額からすれば、かなり高額のボーナスが懸けられたわけです。

 そのうちの“3歳シーズン”が、2歳と古馬に先駆けて3月24日の桜花賞(浦和)からスタート。先月25日のル・プランタン賞(佐賀)まで、すでに3戦が終了しました。この後、13日ののじぎく賞(園田)、20日の東京プリンセス賞(大井)、来月16日の関東オークス(川崎)と続いていきます。

 同シリーズで目下1〜3位を独占中なのが、笠松・山中輝久厩舎の3頭、エレーヌ、コロニアルペガサスとプティフルリールです。

 この3頭、揃ってシリーズ第2戦の留守杯日高賞(先月19日、水沢)、第3戦のル・プランタン賞に出走。ともに、エレーヌ1着、コロニアルペガサス2着、プティフルリール3着と、2戦続けて“ワンツースリーフィニッシュ”を果たしました。また、第1戦の桜花賞にも出走したコロニアルペガサスは、そこで4着に健闘しています。

 その結果、エレーヌが他地区レースの1着ポイント15点×2=30点を獲得して首位に立ち、コロニアルペガサスは他地区4着の5点プラス同2着の10点×2の計25点を挙げて2位、プティフルリールは他地区3着7点×2=14点で3位に付けています。

 4位は、桜花賞を制し地元地区1着の10点を獲得したショウリダバンザイが続き、5位には留守杯日高賞4着、ル・プランタン賞10着で他地区4着の5点プラス同6着以下の2点を得たショートエアリーと、桜花賞2着で地元地区2着の7点を挙げたバックアタックが同点で並んでいます。この中のショートエアリーも山中輝久調教師の管理馬。つまり、上位6頭のうち4頭が同厩舎の馬で占められているんです。

 ル・プランタン賞でエレーヌらが1〜3着を独占した時、佐賀競馬を実況している中島英峰アナウンサーは「笠松ガールズ、恐るべし」と言っていましたが、まさにそのとおり。でも、「山中ガールズ」と言ってもいいでしょうね。

 シリーズのルールが完全無欠なものかどうかは別問題。今の仕組みをいかにうまく利用してボーナスを狙うか。山中調教師は、ルールにのっとって正攻法でポイントを稼いでいるんですから、見事というしかありません。このまま行くと、ひょっとしたら1位ボーナスの500万円だけでなく、2位の200万円と3位の100万円も、“山中ガールズ”が“総取り”しちゃうかもしれません。

 念のため、現在10点を獲得して4位のショウリダバンザイが最終的に1位になるためには、というシミュレーションをしてみましょう。残るレースは3つ。同馬にとって、のじぎく賞は他地区のレースですが、その後の東京プリンセス賞は地元戦、しかも南関東限定戦でポイントは少な目に設定されています。のじぎく賞に勝てば他地区1着で15点をゲットできますが、東京プリンセス賞に勝っても7点しかもらえません。それでも両レースを連勝すれば計32点となり、逆転は可能です。ただし、のじぎく賞にエレーヌが出てきて2着に来れば同馬のポイントが40点に達しますから、ショウリダバンザイは関東オークスでさらに3着以上(10点以上)の成績を収める必要があります(ポイントルールなどは※注1で確認してください)。

 そうやって考えると、“山中ガールズ”が1〜3位ボーナスを“総取り”するかはともかく、そのうちの1頭が1位ボーナスを獲得する可能性はかなり高いと思われます。まずは、13日ののじぎく賞にどの馬が出てくるか、これは注目です。

 ちなみに、「GRANDAME−JAPAN」の“古馬シーズン”は7月27日の読売レディス杯(金沢)から、“2歳シーズン”は9月22日の園田プリンセスカップ(園田)から始まります。今ごろ、山中厩舎の快進撃を手本に、それぞれのシリーズでのボーナス獲得へ向けて、作戦を練っている陣営があるかもしれません。これからの展開が楽しみです。

 さて、いよいよ6週連続のGI開催が始まりました。みなさんのご健闘をお祈りします!では、また来週。

※注1【GRANDAME-JAPAN概要(PC用)】
http://www.keiba.go.jp/grandame_japan.html

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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