今年はイギリスのダービーも熱い!

2010年05月15日(土) 00:00

 NHKマイルCのダノンシャンティ、鮮やかでしたね。日本レコードでの優勝はお見事。今後の活躍が楽しみになりました。
 
 “都市名サイン”はまだまだ出続けているようですし、私のデータ予想も“イイ線”行っていました。ところが、“都市名”では2&3着馬、データでは3着馬が“抜け”。私としては、(サンライズプリンスのような)3歳デビュー馬は勝ったことがないというところを度外視したのと、(ローテーションが過去の傾向にそぐわない)リルダヴァルを外したのが反省点でした。
 
 一方、“都市名サイン”のネタ元“Y氏”は、後になって「そういえばイタリアにBariという町がありましたね」とのメールを送ってきました。つまり、ダイワバーバリアンも“サイン馬”だったと言いたかったのでしょう。いやいや、イタリアのBariは、日本ではバーリと読んでいますから、ダイワバーバリアンを“サイン馬”とするのは無理。どうやら今年の“Y氏”、オイシイ馬券が当たらず、行き詰まっているようです。
 
 それはさておき、ダノンシャンティにペルーサ、ヴィクトワールピサ、ルーラーシップ、ゲシュタルトなどなど、今年の日本ダービーにはその舞台にふさわしい看板役者が勢揃いして、とてもおもしろいレースが見られそうです。どの馬から買うか、これは迷っちゃいますね。運のいい馬が勝つと言われているダービーですから、馬券を当てるのも、きっと運のいい人でしょう。

 競馬の本家本元、イギリスのダービー(6月5日、エプソム競馬場)も、前哨戦がほぼ終了して有力馬の顔ぶれが固まってきました。今週はこの話を書かせていただきます。

 ブックメーカーの前売りオッズで1番人気に推されているのは、セントニコラスアビー。本命視されていた今月1日の2000ギニーでは6着に敗れ、デビュー以来の連勝が3でストップしてしまいました。とはいえ、これが今年初戦だったことや、父(モンジュー)も母の父(Sure Blade)ももっと長い距離で活躍した馬だったことなどから、ダービーのほうがいいと見られているようです。
 
 これに対し、13日にヨーク競馬場で行われたダンテSを制し、優勝候補に急浮上したのがケープブランコ。こちらは、2歳時にG3、G2の重賞を含め3戦3勝。今回は昨年8月以来のレースでしたが、2着馬に3馬身強の差をつけての快勝で4連勝を果たしました。未だ土付かず、無敗のダービー馬候補ということです。ちなみにダンテSの勝ち馬からは、05年のモティヴェイター、07年のオーソライズドといったダービー馬が誕生しています。
 
 そのダンテSで2着に敗れたワークフォースも、まだまだ見限れない馬ということで、3番人気に踏みとどまっています。なにしろまだキャリア2戦。昨年9月のデビュー戦に勝っただけで、「これはかなりの器」と見られていた馬です。今回のダンテSでも、ゴドルフィンの期待馬でデットーリ騎手が乗るシャバルに次ぐ2番人気に推されていたほどでした。ひと叩きされて本番では、と思っているファンも多いはず。楽しみな1頭ではあります。
 
 これら3頭に次ぐ存在は、ビュレットトレイン、ミダスタッチの2頭。前者は、8日に行われたリングフィールド競馬場のダービートライアルSを制し、3戦2勝2着1回という戦績。後者は、9日にアイルランド・レパーズタウン競馬場のダービートライアルSを勝って4戦2勝という馬です。その馬名は、日本にいたミダースタッチと同じく、ギリシャ神話に出てくるMidasという神の、触れたものをすべて黄金に変えてしまう能力「Midas Touch」から命名されました。リングフィールドのレースからは1998年のハイライズがダービー馬に、レパーズタウンのレースからは、2000年のシンダー、01年のガリレオ、02年のハイシャパラルが、ダービーとアイリッシュダービーの“2冠馬”になっています。
 
 というわけで、来月5日のダービーには、2000ギニーからの巻き返しを狙う本命馬と、各地の最重要前哨戦に勝ったか、またはそこで好勝負した対抗馬たちが勢揃いする見込み。本場のダービーも、豪華メンバーによる熱戦が期待できそうです。
 
 ところで、ここまでに挙げた5頭のうち、セントニコラスアビー、ケープブランコ、ミダスタッチの3頭は、いずれもエイダン・オブライエン調教師の管理馬。ヨーロッパ各国のクラシックに毎年数多くの管理馬を送り込んでいる同調教師ですが、今年もうらやましくなるほどの顔ぶれを揃えてきました。さらに、ケープブランコとミダスタッチは、ともにガリレオの産駒。父と同じ道をたどるミダスタッチが勝つか、もう1つの王道、ダンテSを勝って4戦4勝のケープブランコが勝つか、そこに焦点を絞っても、おもしろく見られるダービーになるでしょう。
 
 日本でも総本家のイギリスでも、競馬ファンにとっては、ダービーの結末をあれこれ考えている今ごろが、一年でもっとも楽しい時期だと思います。日本では、イギリスのダービーとの間をつなぐように、地方競馬のダービーウィークもありますからね。今年も目一杯楽しみましょう!では、また来週。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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