トロント周辺の競馬場は楽しみいっぱい

2010年06月05日(土) 12:00

 皐月賞で負けた馬が日本ダービーを勝つときは、2着にも皐月賞で負けた馬を連れてくる。先週のダービーは過去20年の傾向どおりの結果になりました。

 ところが、今年は皐月賞馬の2冠達成か皐月賞不出走馬(または前走が皐月賞以外の馬)が勝ちそう、と予想した私。皐月賞敗退馬同士の1、2着というパターンは、真っ先に想定から外しちゃったんですよね。

 しかも、このところ皐月賞馬が負けるときは3着にも入れない、なんていうデータまで引っ張り出して、先週のコラムに“究極の逆説的オススメ馬券”の買い方までご披露したら、なんとヴィクトワールピサが3着に届いちゃったじゃないですか。“究極”のさらに上を行く、“宇宙の果てのその先”みたいな結末。ここまで来ると、私の予想ってスゴイなぁ、とつくづく感心しますね。だって、とにかく私の予想を逆読みしていれば、ほぼカンペキに馬券が当たっちゃうんですから!

 それにしても、どうしてそういうふうに私の予想はハズレるんでしょうか。実は先週のダービー前に、カナダの競馬を見に行ったんですが、その時も、私の馬券を見透かしたような結果に相次いで見舞われました。

 今回は、トロント周辺のハーネス(繋駕)レースの競馬場2か所(MohawkとGeorgian Downs)と平地の競馬場1か所(Woodbine=カナディアン・インターナショナルが行われる同国で最も格上の競馬場)に行ってきました。

 で、どんなふうにハズレたかというと、まずは、馬単のヌケ目、タテ目、ウラ目で決まったことが何度あったことか。また、ハーネスのレースでソコソコ人気になっている(つまり、全く見込みがなさそうな雰囲気ではない)馬の単・複(Win=単勝、Place=2着払いの複勝、Show=3着払いの複勝)同額買いをしたら、その馬がギャロップしてしまい上位争いから脱落(ハーネスレースではすべての脚が地面から離れてしまうと走法違反)とか、やっとの思いで3連単を当てたと思ったら、1、2、3番人気の馬で決まってほとんど儲からなかったとか、まぁよくある“ダメパターン”ばかりだったんです。

 日本でも、軸馬を決めて馬連・馬複を買えば軸馬が3着で、ワイドや3連複、3連単を買えば軸馬が4着とか、最後の最後に6頭を5頭に絞って買ったら、そこで外した馬に来られたとか、ありとあらゆる不運と大変親しい間柄になっている私ですが、今回のカナダ遠征にも、“彼”はついてきちゃいました。

 「早い話が、オマエにはギャンブル運がないんじゃないか」ですって?ハイ、言われるまでもなく、自分でもそう思っています。なのにどうして性懲りもなく馬券を買うのか。それは、自分の運を確かめているからです。

 自分で言うのもおこがましいですが、私のここまでの人生運は、ギャンブル運ほど悪くなかったと思います。むしろ運はいいほうかなぁと…。これでギャンブル運までよかったら、人から恨まれちゃいますよ。

 人間の運というのは、だいたい総量が決まっていて、何かの運がよければ、何かの運はあまりよくない。中には、何をやってもスゴイという人がいるが、そういう人は、身近な人の運を吸い取っているのだ、なんていうことを、阿佐田哲也さんが書いたもので読んだ覚えがあります。なので、馬券がハズレるのは、ほかのところで幸運に恵まれる兆し、あるいは恵まれたからこその結果。落ち込む必要はないと思っています(強がり)!

 問題は、私の予想や馬券がビシバシ当たり始めたとき。これは、そのほかの運が削り取られている証ですから、由々しき事態。恐ろしいことになるかもしれません。そうなったら気をつけなければならないので、馬券をちょっとずつ買って、先行きを占っている、というわけです。

 なんて言ってはみたものの、ときどきはいい馬券を当てたいと思っているんですが…。今週の安田記念も難しそうだなぁ。まぁ、とにかく運試しですから、ここもちょこっと馬券を買って、今の自分の運を占ってみたいと思っています。

 ちなみに、今回訪れたトロント周辺の各競馬場は、それぞれカジノ(スロットマシーンがメイン)併設で、食事の施設も充実。とくにWoodbineには小さな競馬博物館もあって、けっこう楽しめました。これまでに行った競馬場の中でも、オススメの部類に入れていいでしょう。

 Woodbine競馬場に行くなら、4月最終週から12月初めまで開催されている水曜夜のナイター競馬が狙い目。午前中に高さ533mのCNタワーに登って市内を展望、隠れた名物になっている巨大地下街のフードコート(各所にあり)でランチを食べた後、午後は世界でも珍しい水陸両用車で市内の名所を巡るHippoツアーに参加、それからWoodbineで競馬観戦というスケジュールを組めます。

 今回のカナダ遠征で、通算踏破競馬場数は213か所(うち、海外174か所)に達しました。目標の海外200場踏破まではあと26か所。次はいつどこへ行こうか、現在思案中です。では、また来週!

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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