2010年07月31日(土) 00:00 0
今週の小倉競馬から、武豊騎手が実戦に復帰しました。今年のダービーに乗れなかったのは歯がゆかったでしょうが、あれだけの人ですから、すでに気持ちは切り替えているでしょう。満を持して戻ってきたからには、大いに活躍してもらいたいですね。
武豊騎手が復帰して喜んでいるのは、彼を頼りにしている中央のファンや馬主サンばかりではありません。ばんえい競馬の関係者も同様です。もうみなさんご存知とは思いますが、今年で4回目を迎えるばんえい競馬の「JRAジョッキーDAY」(8月23日・月、帯広競馬場)に、武豊騎手が初参加してくれることになったんです。
当日の呼び物は、JRAのジョッキーとばんえい競馬の騎手がコンビを組んで手綱を取るエキシビションレース。本馬場で現役の競走馬を走らせ、ガチンコ勝負を繰り広げます。当然、武豊騎手もこのレースに初参戦するわけです。いやぁ、楽しみですねぇ。
日刊スポーツの記事によれば、武豊騎手は「第1回から参加は要請されていたが、交流重賞などの兼ね合いで実現しなかった。ばんえい競馬の須藤一夫理事と中学の同級生である河内厩舎の安藤賢一助手の2人が発案し、藤田伸二騎手に要請して決まった企画。今年は交流重賞が重ならない日を選び、藤田が直接交渉して『ぜひ乗りたい』と二つ返事をもらって実現した」とあります。
でも実は、2006年末に廃止寸前まで追い込まれたばんえい競馬の存続が決まったとき、私も「JRAジョッキーの招待レースができれば全国的なPRになるはず」と思い、07年1月のJRA賞受賞式後のパーティで、武豊騎手に「ばんえいのソリに乗ってくれませんか?」と声をかけたことがあるんです。
すると彼は「えぇ、いいですよ」とスンナリ応じてくれました。武豊騎手がその時のことを覚えているかどうかはわかりませんが、私としても、1つの“夢”が実現したみたいで、何ともうれしい限りです。
さぁ、そうなると、このレースについての“夢”がさらにふくらんでいきます。これを、エキシビションではなく、ホンモノのレースにできないものでしょうか?
今年4月、フランスから、あのC.スミヨン騎手がハーネス(繋駕)のレースで勝利を挙げた、というニュースが伝わってきました。同騎手が勝ったのはアマチュアドライバー(ハーネスレースでは騎手をドライバーと呼びます)によるレース。海外には平地、障害、ハーネスを問わず、アマチュアが手綱を取るレースがあって、馬券も発売されています。しかし、日本では規則が厳しく、この種のレースで馬券を発売することはできません。
だったら、主催者が“限定免許”を発行して、JRAや地方の平地競馬騎手をばんえいのプロ騎手と認めちゃえばいいんじゃないですか?ばんえい競馬には、そのくらいの大らかさがあってもいいと思うのですが。
矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。