涼風の吹き抜ける門別競馬場

2010年09月09日(木) 11:00 0

 首都圏では昨日、台風9号の通過による集中豪雨に見舞われ、記録的雨量を観測したという。いつも通りの北上するコースを進んだのならば今頃北海道を直撃しているはずだが、どういうわけか北陸地方に上陸した後、そのまま列島を横断し太平洋に抜けたようだ。

 台風の進路を阻んだのは大陸から進んできている乾いた秋の高気圧なのだろうか。北海道は、ようやくこの時期本来の爽やかな気候になり、昨日は日中でも25度以下。日暮れとともにさらに気温が下がって20度をかなり下回るほどであった。

 門別競馬場は、夜になるとさすがに半袖ではいささか辛いほどの冷気だ。今年の夏が異常な暑さだったことを考えると、競馬観戦にはこれくらいがちょうど良いと感じる。

(写真・門別のパドック)

 8日は「第4回ブリーダーズゴールドジュニアC(2歳オープン、1着賞金300万円)」が行われた。netkeiba.com杯という社杯がついており、さらにJBC協会協賛としてネオユニヴァース賞(来年度の交配権利)も贈られる。

 出走馬は12頭。いずれも門別でデビューした道営所属馬たちだ。1番人気はモエレフウウンジ。ゴールドヘイロー産駒の牡馬で、前走はイノセントC(重賞)を6番人気で制している。

(写真・パドックのモエレフウウンジ)

 地方競馬における中央との大きな違いはまず出走馬の父馬欄で、このゴールドヘイロー(2頭いる)を筆頭にスパイキュール、シルバーチャーム、ノボジャックといった名前が並ぶ。イーグルカフェ、カコイーシーズなどという名前もある。

 認定競走を勝ち上がった後、ここをステップにして秋開催を戦い抜き、いずれ南関東もしくは中央に駒を進めたいのが各陣営のプランだ。もちろん好条件でオファーがあれば転売することだってできる。

 午後8時25分。一足早くスタートした川崎競馬「戸塚記念」が終わり、確定した後を受けて、「ブリーダーズゴールドジュニアC」の発走時刻となった。

 1800m。4コーナーを回ったところからのスタートである。

 レースは3番シルバーラビットが引っ張る展開で1~2コーナーを各馬が進んで行く。やがて4コーナー手前で失速したシルバーラビットに替わり前に出たマツリバヤシを先頭に直線に向かう。

 しかし、好位につけていたモエレフウウンジが抜け出し、1分57秒5のタイムで優勝。2着には最後によく追い込んできた9番人気のエバーオンワードが入ったため、馬単62倍の高配当となった。

(写真・モエレフウウンジのレース1)

(写真・モエレフウウンジのレース2)

(写真・口取り)

(写真・関係者の記念撮影)

 モエレフウウンジは中村和夫氏の生産&馬主で、堂山芳則厩舎所属。騎乗は山口竜一騎手。父ゴールドヘイロー、母ピサノガレー(その父ブライアンズタイム)。母ピサノガレーは中央4勝を挙げ、7000万円以上を稼いだ馬で、3歳時にはオークスと秋華賞にも出走している。かのビワハヤヒデやナリタブライアンと従妹になる名血だ。

「距離が延びても行ける馬。これからも楽しみです。(道営は)こういう強い馬が出てくるところ。今後も応援して下さい」と山口竜一騎手はインタビューに答えてこう語った。

 折りしも、この8日には、札幌にて高橋はるみ知事の諮問機関である「第2回北海道地方競馬運営委員会」が開催された。

 今年度の収支均衡が来年度以降のホッカイドウ競馬存続のための大前提とされている中、果たしてこの委員会でどのような話し合いが行われたものか非常に気になるところ。

 8月26日現在の数字では、売り上げ計画比で約1割減、ただし前年比では101.3%と一応の結果は残しているものの、今後11月18日までの開催でどれだけ目標に近づけられるかが焦点となるだろう。

 いずれにしても、なるべく早い段階で明確な「次年度以降も継続する」という知事の決意表明が待たれる。

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田中哲実

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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