当たってほしくない?凱旋門賞の傾向

2010年09月25日(土) 00:00

 凱旋門賞まであと1週間。次回、当コラムが更新される頃には、もうレースの直前になっちゃいます。そこで今回は、実際に現地に行かれる方が馬券検討をされる際のお役に立てるよう、過去15年の傾向をご案内することにしました(余計なお世話ですかね?)。

 まず、優勝馬15頭の馬齢と性別。12頭が「斤量的に有利」と言われている3歳馬です。古馬で勝ったのは、07年のディラントーマス、01年のサキー(ともに牡4歳)と、02年のマリエンバード(牡5歳)だけ。また、3歳牝馬の優勝も08年のザルカヴァしかありません。データから言えば、やはり3歳牡馬を頭に狙ったほうがいいレースです。

 次に、優勝した3歳馬の実績。12頭中9頭がニエユ賞に出走、そのうちの7頭がニエユ賞を勝っています。さらに、この7頭のうち、98年のサガミックスを除く6頭が、ニエユ賞より前にG1勝ちを収めていました。一方、ニエユ賞に負けて凱旋門賞を制したのは04年のバゴ(ニエユ賞3着)と97年のパントレセレブル(同2着)だけ。バゴはパリ大賞典、パントレセレブルは同レースと仏ダービーを勝って、G1タイトルは獲得済みでした。

 このことからすると、今年もなんだかんだ言われようと、パリ大賞典に続いてニエユ賞を制したベーカバッドが最有力の候補。ニエユ賞でアタマ差の2着に敗れたプラントゥール(G1勝ちなし)は、割り引いて考えていいと思います。

 さて、前走がニエユ賞以外のレースだった凱旋門賞優勝馬のステップはどうなっていたでしょう。これにも、ハッキリと傾向が表れています。95年に、あのラムタラがキングジョージからの直行で勝ったほかは、英インターナショナルS(8月中旬)以降の時期に組まれているレースを使っています。つまり、約2か月以上の休み明けぶっつけは苦戦必至ということ。06年のディープインパクト(3着入線→禁止薬物検出で失格)もそうでした。出てくれば7月のキングジョージ以来となるワークフォース、8月8日の愛G1以来となるフェイムアンドグローリーには疑問符を付けざるを得ません。

 そうすると、今年の愛ダービー馬で今月4日の愛チャンピオンSを制したケイプブランコが浮上してきます。重馬場の仏ダービーで10着に惨敗したところは引っかかりますが、、3歳馬が勝ちパターンのステップを踏んで出走してくるからには、マークしておいたほうがよさそうです。

 それじゃぁ日本馬は?ウーン、前走に負けて凱旋門賞を勝ったのは、ここ15年で先に挙げたバゴとパントレセレブルしかいません。過去の傾向からは、負けてもいいのはニエユ賞だけで、それも3着まで、と断言できます。日本馬が優勝すれば、この傾向をアッサリ覆すことになるんですが(ちなみに、私のデータ予想はなかなか当たらないということを付け加えておきます)。では、また来週!

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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