いつか必ず

2010年10月09日(土) 00:00

 先週のスプリンターズS、当コラムの「どうでしょう」予想は、いい線いってたんですけどねぇ。ポスターにあった、メガネをかけた(近視の)外国人と「ヤノ眼科」の看板、さらに「まばたき禁止」のキャッチコピーから、キンシャサノキセキを浮び上がらせたところまではバッチリでした。

 問題は、「お茶屋サンの看板がもう1人の外国人の陰に隠れている」という部分。そのヨミが浅かったんだと思います。あれを素直に「グリーンバーディーの馬名にグリーンティーが隠されている」と読んじゃったんですが、実際は「人がその看板の前にいる」というのがミソ。「陰に隠れたグリーンティーの前にいる」、つまり、「香港のレースでつねにグリーンバーディーに先着していた」ウルトラファンタジーを“示唆”したもの(?)だったんですね。

 両側の外国人に挟まれて入浴していたのが大泉洋サンだったんで、この名前に一番近い(??)大久保洋吉厩舎(のサンカルロ)はマークしていたんですけど。いやぁ、惜しかったなぁ。

 でもまぁ、今回はこれでいいでしょう。だって、ポスターの図柄をヒントに予想して、こんなに当たり馬券に近づいちゃったんですから。逆に言えば、マジメに予想しても、なかなかオイシイ馬券は当たらない、ってことかもしれません(マジメに予想している方、ゴメンナサイ!)。

 一方、これでいいでしょう、じゃぁ済まないのが、やっぱり凱旋門賞。ナカヤマフェスタの二ノ宮調教師が「あの頭差が大きいんだよ」とおっしゃっていましたが、ホントにその通りですね。

 先々週の当コラムに書きましたが、キングジョージからのぶっつけで凱旋門賞を制したのは、1995年のラムタラが最後。ここ14年、そういう馬は出ていませんでした。日本馬2頭がせっかく現地で前哨戦をひと叩きして臨んだというのに、負けた相手が“ラムタラ以来15年ぶりの馬”だったとは。

 私が言うのはおこがましいことですが、これが競馬の奥深さだと思います。「G1レースの前には前哨戦をひと叩きしなければならない」わけではないんですね。

 それだけでなく、ワークフォースの勝利には、いろんなことを考えさせられました。あの馬、今回がデビュー5戦目。初のフランス遠征で、19頭立てのレースも重馬場でのレースも初体験だったんです。なのに、あの馬群の中からあんなふうに抜け出して、あんなふうに勝っちゃうなんて。しかも、もう一度言いますが、2か月ちょっとの休み明けで、ですよ! 底力というか何というか。

 だから、「あの頭差が大きいんだよ」なんです。でも、勝負師なら、負けた相手が強ければ強いほど、捲土重来への闘志が沸いてくるというもの。いつか必ず、“その日”は来ると信じましょう! では、また来週。

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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