2010年10月23日(土) 00:00
今週は菊花賞。ダービー馬エイシンフラッシュが出走を回避しましたから、実績的にはローズキングダムが最も格上ですね。
同馬には、“バラ一族”悲願のクラシック制覇だけでなく、神戸新聞杯からの連勝と、朝日杯と菊花賞のダブル制覇もかかっています。神戸新聞杯からの連勝はディープインパクト(05年)以来、朝日杯&菊花賞制覇はナリタブライアン(93・94年)以来。どちらも3冠馬が記録して以来というんですから、ローズキングダムが勝ったら、めったに見られない歴史的快挙の同時達成となるわけです。
でも、ちょっと待ってください。朝日杯と菊花賞のダブル制覇というところ、ちょっと引っ掛かりませんか? 1600mの朝日杯を勝つような馬が、3000mの菊花賞を勝てるか、ってことです。
そこで調べてみました。94年、ナリタブライアンが菊花賞を勝ったときの2着は、ダービー3着のヤシマソブリン、3着はダービー2着のエアダブリン。菊花賞での“上がり馬”の台頭はありませんでした。
このときの最大の“上がり馬”と言えば、9月の神戸新聞杯に勝ち、さらに10月の京都新聞杯(阪神)でナリタブライアンを破って優勝、一気の4連勝で出走してきたスターマン。そして、セントライト記念を制したウインドフィールズという馬もいました。ともに春のクラシックは不出走、夏を境に急上昇した馬です。ところが、菊花賞ではウインドフィールズが5番人気で4着、スターマンが4番人気で5着と、ダービー上位馬に先着することは出来ませんでした。距離適性など、敗因はいろいろあったと思いますが、結局はダービー上位馬にかなわなかったわけです。
ここまで調べておいて、さぁこの原稿を書こうと思ったら、テレビで「今年はマツタケが歴史的大豊作」というニュースを取り上げていました。この秋、長野や岩手でマツタケがジャンジャン獲れちゃってるそうです。これは、今年と同じように夏が記録的猛暑だった1994年以来とのこと。最近、猛暑とその後の天候不順で野菜の値段が高騰していますが、マツタケには絶好の気候だったんですね。
そこで再び、でも、ちょっと待ってくださいよ、です。94年と言えば、さっきまで調べていたナリタブライアンが菊花賞を制した年じゃないですか! ローズキングダムにナリタブライアン以来の快挙がかかっているなんて、なんという不思議な巡り合わせでしょう。
94年の菊花賞で“上がり馬”が敗れたのは、猛暑の夏に目一杯の調整をしていた反動が出たためかも。「マツタケ大豊作の年の菊花賞は、“上がり馬”には厳しい」ということですか? だとすれば、あの年以上の猛暑に見舞われた今年も、ダービー上位馬が有利。ローズキングダムの朝日杯&菊花賞ダブル制覇も夢ではありません。これを頼りに馬券を買って大儲けしたら、もうマツタケパーティをやるっきゃないですね。では、また来週!
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。