2010年11月04日(木) 00:00
先週お伝えしたように今週は公開日を一日ずらして11月3日(水)に門別競馬場で実施された2つのアトラクションレースについて紹介する。
JBCデーのこの日、開催中の各競馬場では様々な協賛イベントが行われたことと思う。ここ門別でも、開門を午前10時に早めて、場内を開放して日高物産市、ポニー無料乗馬や新米「ゆめぴりか」で作ったおにぎりの試食会、道営競馬で活躍したギルガメッシュ号の引退式など数々のファンサービスを展開した。
その一環として、今回初めて登場したのは「門別ジョッキージョッキー競走」。何のことか字面だけではまるで見当もつかない名前だが、これは北海道和種馬(どさんこ)保存協会の協力により実現したもので、ルールはおよそ次の通り。
まず馬装したどさんこに騎手が騎乗し、片手にビール?をギリギリ一杯まで注いだジョッキを持つ。つまり駄洒落なのである。
午前11時半にファンファーレの後、8頭立てでスタート。見所は、どさんこ特有の側対歩(そくたいほ)をいかに上手に乗りこなしながら手に持ったビールをこぼさず走るかという競走だ。
側対歩はスピードを出しすぎると崩れてしまい、それによって馬の上下動が増すことになる、という。上下動が激しくなれば当然、ビールはこぼれやすくなる。
騎乗は当初、道営所属騎手たちなのかと思っていたが、保存会の方々であった。
着順とジョッキ内に残留するビールの量を計測して両方のポイントで優劣が決まる。側対歩は読んで字のごとく、同じ側の脚が同時に前後に動く。比較的従順でおとなしいとされるが、門別初お目見えの馬ばかりのためか、直線の半ばでスタンドや埒沿いにいるカメラマンなどに驚き、くるりとターンして落馬してしまう場面などもあった。
優勝したのは4番の旭龍(きょくりゅう)で騎手は池田賢治さん。
朝から曇りがちの空模様で時折日が差す程度の寒い日であった。どさんこによる「ジョッキージョッキー競走」が終わった頃からポツリポツリと雨が降り出した。
もうひとつのアトラクションは「第6回浦河ジュニアジョッキー杯」。道営ではすっかりおなじみになった浦河ポニー乗馬スポーツ少年団によるポニー競馬である。
今回の出走は全部で9頭。これに小学校2年生から6年生までの子供たちが騎乗する。
馬場入りを前にした輪乗りの最中に、だんだんと雨粒が大きくなってきた。そういえば去る8月11日に同じく門別(ナイター)で行われた「ジョッキーベイビーズ北海道地区予選決勝」の時も雨であった。いざ本番となると、どうも今年は天候に祟られる。
出走は12時半。まだ観客はそれほど入っていないが、このレースは、今週末に東京競馬場で行われる「ジョッキーベイビーズ」に向けての壮行会のような意味を持つ。もちろん、東京行きの2人(福久紗蘭さん、根本ひなたさん)も騎乗している。
依然として雨が降り続く中、いよいよ馬場入り。スタンド前のあたりでコース一杯に輪乗りをしている間、騎手と騎乗馬が1頭ずつビジョンで紹介される。
その後、スタート地点になっている4コーナー奥まで移動。スターター役の鮫川愛実さん(小5)が旗を振り、ファンファーレが響く。
この頃、どうにか際どいタイミングで雨が止んだ。9頭が勢い良く一斉にスタートする。馬場状態は前夜の降雨にも拘わらず思ったほど悪化していないので割にスピードが出る。
直線300mのレースなのであっという間にゴールインした。優勝はガンバレタロウクンに騎乗した大池澪奈さん(小4)。20mのハンデをもらっていたとはいえ、ロスなく内埒沿いをまっすぐに走って、見事に初競馬で初優勝した。
東京行きの2人は、ともに健闘したが福久紗蘭さん(小5)が3着。根本ひなたさん(小6)は6着であった。
なお少年団唯一の外国人であるジーナ・ローズ・ドレスラーさん(11歳)も、果敢に挑戦して初競馬ながら4着と健闘した。余談ながら、このジーナさんは、昨年重賞を2つ制してオークスでも人気になった、かのディアジーナのモデルになった子である。父母ともに育成馬の調教のためニュージーランドから来日しており、血統?は申し分ない。それにしても、ずいぶん国際的になったものだ。
さて、いよいよ来週は東京競馬場でのジョッキーベイビーズ。次回はその模様をお伝えする予定。
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田中哲実
岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。