2010年11月13日(土) 00:00
今年もまた、レディースジョッキーズシリーズ=LJSの季節がやってきました。今月16日(火)に金沢、来月1日(水)に名古屋、16日(木)に荒尾でそれぞれ2戦ずつ、計6戦を行い、“女性騎手日本一”を決定します。
当初、平地競馬で現役を続けている女性騎手10人全員の参戦が予定されていました。ところが、直前になって高知の森井美香騎手が調教中に落馬して負傷、残念ながら金沢と名古屋のレースを欠場することになってしまいました。したがって、第1戦から第4戦までは9人のジョッキーによる9頭立てのレースが続くわけです。
競馬に落馬は付き物、とはいえ、このシリーズが近づくと、「みんなケガをしなければいいんだけど」と心配になります。去年のこのシリーズでも、第5戦で岩永千明騎手(荒尾)の落馬がありましたし、総合優勝した山本茜騎手(愛知)は、直後の地元名古屋での調教で落馬し、2か月ほどの休養を余儀なくされました。なにしろ現役の女性騎手は10人しかいない(ばんえい競馬の騎手を除く)わけですから、1人欠けただけでも、イベントの盛り上がりに影響しちゃいます。ほかの騎手招待レースなら代役を立てることもできますが、このシリーズにピンチヒッターはいません。とにかく出場騎手の無事を祈るばかりです。
何を隠そう、この私、LJSを楽しみにしている競馬ファンの一人。その理由は、単に日本の女性騎手が一堂に会するイベントだから、というだけではありません。どのレースも波乱含みで、穴党にとってはけっこう興味をそそられるからです。
去年のシリーズ全6戦のうち、単勝1番人気の馬が勝ったのは1レースだけ。2、3番人気の馬も1勝ずつ。あとの3戦は、6、7、9番人気の馬が勝っています。3連単は、第2戦で94万円超の大波乱になったほか、第4戦では12万円台も飛び出し、全レースで万馬券になりました。
こういうイベントがあれば、勝負の世界に生きている人なら、男女を問わず「一丁やってやろう」という気持ちになるはずです。まして、年に一度の女性騎手同士の戦い。だからこそのライバル意識もあるでしょう。一方、馬のほうでも、ふだん乗せ慣れている男性騎手が女性騎手に代わったことで、今までにない反応を示すこと(いいほう、悪いほうの両面で)があるかもしれません。そういう要素が絡み合って、波乱が起きるのではないでしょうか。
日本ではウオッカ、ダイワスカーレット、ブエナビスタ、アパパネ、海外ではザルカヴァ、ゴールディコーヴァ、ゼニヤッタと、このところ牝馬の活躍が目立っています。今度はLJSで女性騎手に競馬を盛り上げてもらいましょう。そして一言付け加えさせていただきます。森井騎手も含め、10人の女性騎手のみなさん、少なくとも次の新人がデビューするまでは、現役で頑張ってくださいね!
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矢野吉彦
テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。