フランス競馬観戦記

2010年11月27日(土) 00:00 0

 今回は、前回予告したとおり、フランス競馬の観戦記です。

 フランスを訪れたのは、06年にディープインパクトの凱旋門賞と3箇所の地方競馬を見に行って以来4年ぶり。今回はアルジャンタン(Argentan)でトロット、メレードゥメーヌ(Meslay du Maine)で障害、アンジェ(Angers)で平地と障害の開催を見てきました。

 アルジャンタンへは、パリから西へ急行列車で約1時間40分ほど。競馬場は駅からタクシーで5~6分のところにあります。周辺は有数の馬産地。また、印象派の画家が美しい風景を求めてよく足を運んだところだそうで、とある観光案内サイトには、「ドガの代表作『競馬場の馬車(プロヴァンスの競馬場Aux courses en province)』は、アルジャンタン競馬場に於いて制作されたもの」と書かれていました。私が行ったのは日曜日で、大勢のファンが詰めかけ、ちょっと古めの小さなスタンドは大にぎわいでした。

 メレードゥメーヌは、パリの南西、自動車の耐久レースで有名なルマン(Le Mans)のさらに西にあるいなかの村。競馬場へは、ルマンまでTGV(約1時間)で行って、普通列車(約30分)に乗り換えてサブレ(Sable)で下車。そこからタクシー(約20分。30ユーロ=3500円弱)を飛ばして向かいました。

 当然ながら、今回訪れた3つの競馬場の中では最ものどか。スタンドは木造で、これがまた“いい味”を出しています。ここは障害とトロット専門の競馬場で、当日は全7レースがいずれも馬場を約2周する3500mの障害戦でした。スタンド前に、バンケットの登り口と降りたところに横木を置いた障害があり、「シャポー・ド・ジャンダルム(Chapeau de gendarme)=紙帽子」というニックネームがつけられています。この日の出走馬はみんな上手にこれをクリアしていました。

 アンジェはルマンの南西、サブレの先にあるアジュー(Anjou)地方の中心都市。パリからはTGVで約1時間半のところにあります。競馬場へは、駅近くのHarasバス停から2番のバスで約20分、終点のEvantardで下車。そこから歩いて20分弱で行けます。

 当日は朝から濃霧。「競馬は中止かも」と不安になりなりながら、霧の中をトボトボ歩いて競馬場へ。入り口にたどり着くと、入場料を取って客を中に入れていたので、ようやくひと安心しました。

 案の定、前半戦は馬がほとんど見えない状態。それでもアナウンサーは、モニターを見ながらよく喋っていましたね(感心!)。平地レースには、ディープインパクトが出た凱旋門賞の優勝馬レイルリンクの手綱を取ったステファン・パスキエ騎手や、今年のワールドスーパージョッキーズで来日したマキシム・ギュイヨン騎手も参戦していました。

 これで、訪れた競馬場の数は216箇所(うち、海外177箇所)になりました。当面の目標、海外200箇所踏破まではあと23箇所です!

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矢野吉彦

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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